社会
特に埼玉県、さいたま市の政治、経済などはじめ社会全般の出来事を迅速かつ分かりやすく提供。
昨今反知性主義という言葉を目にする事がある。
物事を自分達の理解したいようにのみ理解する、という意味で使われる事が多いようである。
森本あんり著 反知性主義:アメリカが生んだ「熱病」の正体(新潮選書)
佐藤優著 知性とは何か(祥伝社新書)
などこの反知性主義について問う著作も多く刊行されている。
バブル崩壊以降長く続いたこの国の経済的停滞が、短絡的にすっきり
と世の中を理解したいという欲求に拍車をかけてしまった点は否めない。
民主政治は時としてまどろっこしい制度と受け止められているようだ。
だが仮にそうしたエートスが支配的となった社会がどのような方向に
向かってしまうのか、その恐ろしさについては常に留意しておく必要がある。
世の事柄は全て多面的であり重層的である。
竹を割ったが如く、すっきりとあとくされのない事など何もない。
他者に対して、たとえその立場、主張の違いはあろうとも相手に内在する
考え方を理解しようとする試み、想像しようとする営みがこの制度を担保していると
いえよう。
知性を強化するには読書が欠かせない。
ある分野においてオーソライズされた立場を異にする、複数の著作を読むだけでも
複眼的思考を磨く事に繋がろう。
異なる見解を持つ他者の思考プロセスに触れる事は決して無駄ではない。
ここではヴォルテール(18世紀フランスの哲学者)の言を引いておきたい。
「私はあなたの意見には反対だ、だがあなたがそれを主張する権利は命をかけて守る」
単純に世界を理解したいという欲求に歯止めをかける。
その為には知性を持って自ら考え抜く。そうした態度に徹し、それを他者と
共通の土台として分かち合う努力を不断に続けていくしかない。
(小松 隆)
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