社会
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日米関係には問題が二つある。
1つは一般的関係。一般のアメリカ人は日本を知らないし日本語を解するアメリカ人は極少ない。従って彼らの情報源は必ずしも筋がよくない。例えば素朴ケインジアンでバラマキ政策一辺倒のリチャードクー氏は多少英語ができアメリカのメディアに時々投稿しているおかげで、アメリカでは日本を代表するエコノミストと目されており彼を通じて日本経済を理解しようとする専門家は多い。
アメリカには今でも「安保タダ乗り論」を言う人がいるし、日本でもそれに同調する人は少なくない。こうした人達は日本が在日米軍のために毎年2000億円以上負担していることを知らない(いわゆる「おもいやり予算」)。大体「おもいやり予算(命名者は金丸信)」とはふざけたネーミングだ。「おもいやり」とは優位者が下位者に与える自発的な施しのことだ。実態はそれとはまるで違う。
石原慎太郎氏に至っては「日本は米軍の世界戦略に協力しているのだから基地使用料をもらったらいい」と言っている。彼によれば「おもいやり予算などとんでもない」ということになる。
もう1つは政治的な関係
鳩山新政権発足を控えて日米関係に軋みが見えると感じている人も多かろう。発端はニューヨークタイムズに載った鳩山論文の抜粋であった。その中でアメリカ的市場主義及びドル基軸体制の永続性への懐疑を表明したことが反米的ととられたようだ。更に、民主党のインド洋での給油活動の非継続方針や、更に遡れば、今年2月クリントン国務長官訪日時に小沢一郎代表(当時)が「日本の安全保障には第七艦隊だけで十分である」と言明し暗に在日米軍の撤退を求めたことも影響しているだろう。
アメリカははっきり意見を言う日本の政治家をほとんど知らないので、一種のカルチャーショックを受けているのだろう。
吉田茂以来日本の与党政治家はひたすらアメリカというお侍さんの鼻息をうかがう町人根性が染みついた。
「北朝鮮の脅威から守ってくれるのはアメリカさんなんだから、機嫌を損ねないほうがいい」という発想は町人根性の最たるものだ。
アメリカもそれに慣れっこになったので日本の首相が訪米してもメディアはほとんど取り上げない。日本の首相が十年一日の如く「日米同盟が日本外交の基軸」とか「日米関係は世界で最も重要な2国間関係」と言ったってニュースバリューはまるでない。
だから小沢発言や鳩山論文は一種のショックを与えたのだろう。だが世界第2位の経済大国(この地位も今や風前の灯火だが)が世界政治で影響力をまったく発揮できなかったこれまでが異常であった。
先日国防総省の報道官(日本なら課長クラスか?)が日本に対し「インド洋での給油継続を望む」と発言し、藤崎駐米大使が「日米関係は一部局の報道官を通じてやり取りする関係ではない」、「アメリカのアフガニスタン政策に日本がどう協力するかは新政権が決めることだ」と不快感を露わにした。この藤崎氏の反応が独立国としては極当然のことだ。この報道官の発言は端無くもアメリカ政府の日本観を端的に示している。
鳩山由紀夫の祖父一郎は吉田茂が仕残した日ソ国交回復、シベリア抑留者の帰還並びに国連加盟をなし遂げた。
今鳩山由紀夫内閣の外交上の使命は歴代自民党政府の対米追随外交の清算であり、奇しくも祖父の役割に似たところがある。
それはそれとして、ドル基軸体制が揺らいでいる(鳩山論文の一節)ことは世界共通の認識であることをアメリカは知るべきだ。
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