社会
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一般会計と特別会計
会計には一般会計と特別会計があり、平成21年度について言えば前者は約37兆円(国債費を除く)、後者は約170兆円、合計約207兆円。国債発行が多いせいもあって特別会計が一般会計よりはるかに多いといういびつな構造になっている。特別会計は原則として特定の収入で特定の支出に当てるので国会の議決は不要である。身近なところでは年金特別会計、空港整備特別会計、自賠責特別会計など。
その中年金制度について。
今、老齢年金の支給は保険制度により、預った保険料を年金特別会計として積み立ててその中から支給している。そのため一人一人の保険料支払い記録を保存しなければならず(そのミスが多発したのは国民の記憶に新しい)又わずかに支払い期間が足りず受給資格を得られないという不合理が生じる。
仮に保険制度を止めて税で賄うことにすればこの特別会計はなくなり、年金は一般会計に繰り込まれることになる。そうすれば上に述べたような問題はなくなる。
民主党は究極的にはそれを目指しているが、長い歴史のある年金制度を一度に変えるのは難しいので、第一段階として様々な年金制度の統一を目指している。
そもそも国会の最も重要な権能は何か?
それは国の歳入(税)と歳出のあり方を国民の代表者が決定するところにある。これを財政民主主義という(憲法第83条~85条)。国会の議決を必要としない特別会計が多数(今年度時点で21)存在することは財政民主主義に反する。
特殊法人でも同じ問題があり、高速道路を作る道路公団は「受益者負担の原則」を存在の根拠としているが、一般会計で作る一般道路と高速道路との間に絶対的な区分はなく、一般会計で高速道路を作ることに何ら法的問題はない(高速道路の完全国有化と無料化。但し政策としての適否は別問題)。
単年度主義
憲法(第86条)と財政法は予算の単年度主義を規定する。この単年度主義は、多年度予算を認めると国会の予算議決権が実効性を失うという意味で合理性はあるが、一方で長期的計画が立てられない弊害があり、余れば無理やり使い切ってしまう無駄の温床ともなっている。多年度主義を実施するには憲法改正が必要となる。憲法9条の改正は困難であろうが、予算単年度主義を改正することに強い反対があるとは思えない。新政権の課題としたらどうだろう。
国会の予算委員会と決算委員会
今月末に臨時国会が開催される。自民党は予算委員会で国の予算ではなく鳩山首相の献金問題を追及しようと手ぐすね引いている。愚かなことだ。政権も変わったことだし、国会も改革すべきだ。予算委員会と決算委員会では何を取り上げてもいいという帝国議会以来の慣行を改めて、予算と決算の審議に集中すべきだ。政府の改革では100年以上の歴史をもつ事務次官会議を廃止したのだから(政権交代に伴い大臣が名実共にトップになったのだから事務次官自体なくせという議論もある)。全閣僚に予算委員会出席の義務を課すのも止めた方がいい。これまで官僚が実質政策を仕切ってきたのは、大臣が国会に拘束される時間が長すぎるため実務に費やす時間が少なすぎたせいもある(それに加えて無能な大臣が多すぎた)。国会で無意味な拘束から大臣を解放することが政治主導の政治につながる。
会計検査院の役割
今月9日、会計検査院が、農水省が関係団体に350億円以上の無駄な基金を積み立てていると指摘したと報じられた。
会計検査院がこうした無意味な基金の積立金を指摘したことはこれまでなかった。本来もっと前からそれをすべきであった。恐らく「霞が関埋蔵金」が喧しく批判されるようになって、意を強くしたのであろう。このままでは会計検査院の存在意義が問われかねないという危機感もあったのかもしれない。
(ジャーナリスト 青木 亮)
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