社会
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今日は文化の日。実は戦前11月3日と言えば明治節であった(明治天皇の誕生日)。
それがなぜ「文化の日」に変わったというと敗戦により天皇制の権威が大いに損なわれ明治節はなくすことになった。だが11月3日は長年(1927年~1948年)休日としてあったので名前を変えて残すことになった。それが文化の日である。ちょうど昭和天皇誕生日が平成に代が代っても「みどりの日(後再び「昭和の日」に変わる)」として残ったのと同じ関係にある。
文化勲章のこと
これは文化の日の制定に先立つ広田内閣時代の1937年(昭和12年)である。首相広田自身の発案で昭和12年の紀元節(2月11日)を期して制定されたものである。第一回受賞者は長岡半太郎 本多光太郎 木村栄(以上物理学)佐佐木信綱(歌人)幸田露伴(文学)岡田三郎助 竹内栖鳳 藤島武二 横山大観(以上画家)の九名。錚々たる顔ぶれである。
ところで文化勲章と文化功労者の関係が正確に分かっている人は文化庁の担当者と憲法学者くらいではないだろうか。そもそも戦前文化功労者という制度はなかった。それが戦後なぜできたというと現行憲法に関係がある。
憲法第十四条第三項「栄典の授与は、いかなる特権も伴わない」の規定があるので政府は文化勲章受賞者に年金を支給することは本条違反と考え、別に「文化功労者年金法」を作り文化勲章受賞者に文化功労者として(文化勲章受章者としてではなく)年金を支給することにした(終身)。文化勲章受賞者に年金を支給するのが違憲であるとすれば文化功労者に年金を支給するのも同じく違憲と見るのが自然な解釈であろう。
勲章と名がつかなければ本条違反には当たらないとする解釈などいかにも内閣法制局の役人が思いつきそうなことではある。
ここは憲法を変えるか又は一身限りの単なる経済的利益はここに言う「特権」には当たらないと解釈を変更すれば済む。
ただ毎年の受賞者の内訳を見ると歌舞伎役者や画家が不当に多いように見える。まるで各業界の既得権があるかのようだ。評価が分かれる文学その他の芸術分野はやめて自然科学中心にした方がいい。そうすればノーベル賞の後追い授賞なんて不細工も防げるだろう。
叙勲のこと
いつもこの時期になると叙勲において「民間に対する官優位」の批判が出る。確かに名前も知らない元国会議員が大臣をやったというだけで勲一等をもらい、片や誰でも知っている経済界の大物が勲二等だったりする。公職優位は明らかにあるので勲章ほしさに業界団体の長になりたがる人は多い。だが元々勲章は官吏と軍人のためにあったからしようがない。
11月23日がなぜ勤労感謝の日か知っている人がいたらお目にかかりたい。この日は元々新嘗祭であったが明治節と同じ伝で名称を変えて祝日として残したものである。
それにしても日本の祝日は多い。これには国民の消費を増やそうとする政府の意図があったが効果はあがっていない。戦前と違い伝統も歴史も感じられない祝日が多いのは遺憾である。
一方祝日ではないが西洋文化の受容にはまことに熱心でクリスマスに次いでバレンタインデーが定着し、今ではハロウィーン(10月31日、万聖節)を見かけることも珍しくない。クリスマスとバレンタインデーはお菓子メーカーの営業政策が功を奏したが、ハロウィーンを推進するのはどの業界だろうか?
(ジャーナリスト 青木 亮)
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