社会
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事業仕分けへの批判をまとめると以下のように要約できる。
1. 事業仕分けの対象は概算要求の約3000事業の中、15%足らずの447事業に過ぎず、残りの85%は仕分けの対象になっていない。
2. 対象となった447事業は財務省主計局が選んだもので、財務省の事業は少ない。
3. 時間が短すぎる。1事業にかける時間は一律1時間。
4. 仕分けの結果は法的拘束力がない。これは本来主計官の仕事である。民主党は財務省の下請けをしている。
5. 削減査定額は目標額の3兆円にほど遠かった。
6. 仕分け人の選定基準がわからない。仕分け人に専門性が欠ける。 といったところか。
もっとも4と6はいささか矛盾している。法的拘束力のある裁判でさえ陪審員は抽選で選ばれる。法的拘束力がないのだから仕分け人の資格を云々する必要はないとも言える。
それでも私は以下の点で大いに意義があったと思っている。
1. 予算作成過程の可視化。これまで楽屋裏で、ロビイスト、族議員、財務省主計官の談合で決められていたことをオープンにすることの意味は非常に大きい。財務省主導という批判はあるが、私は、財務省は予算作成段階を公開するというパンドラの箱を開けたと評価している。新政権が発足してまだ二ヶ月余、試行段階としてはまずまずと言っていいのではないか。これを漸次残りの85%に及ぼせばいい。
2. 国民への教育的効果。予算には理由(わけ)のわからないものが随分あること、官僚の無責任性が明らかになった。自分達が要求する予算の必要性を十分説明する言葉をもたない。
3. 必要とされる官僚の資質への影響。これからは国民(代表としての議員)に分かる言葉で説明できる能力が問われる。これまでは族議員と良好な関係を保ち、省内根回しに長け、予算や天下り先を増やしたものが出世する傾向があった。今後そうした能力は意味がなくなるだろう。それを徹底するには省単位の人事制度を変える公務員制度改革が不可欠である。
4.族議員の撲滅。これからは、与党への陳情窓口の一本化と相まって族議員が蠢動する余地はなくなるだろう。
個別に見ると、
おもいやり予算。今回は削減にまでは踏み込まなかったが、アメリカとの交渉力を強化するためには俎上に上せたのはいいことだ。沖縄基地移転問題との取引材料に使えるかもしれない。そもそも本当に「思いやり」なら一方的な温情であって、止めてもアメリカから文句をいわれる筋合いはない。英語ではどう言っているのだろう?もしアメリカに対し拘束力があるのであれば「思いやり予算」というネーミングは間違っている。核密約の追及も結構だがこっちの方も追及してほしい。
スーパーコンピューター
今時、スーパーコンピューターに拘るのは航空機の時代に戦艦大和を作るような話だとの批判がある。それにノーベル賞受賞者を総動員してのキャンペーンもいやらしい。ノーベル賞候補は毎年世界中に何百人もいる。その中誰が選ばれてもおかしくない。たまたま選ばれたかといって特別扱いすることはない。それに彼らの業績は何十年も前のもので今重要な研究をしているわけでもないし、みんながみんなコンピューターに詳しいわけでもない。
以下事業仕分け全体を通して。
蓮舫議員はしつこく天下りの有無を聞いていた。天下りがあることは、その事業が公益ではなく役人のセカンドキャリアのための官益事業であることを窺わせる情況証拠にはなるが、これは本質的な問題ではない。あくまで事業の内容自体を問うべきだろう。
自民党の河野太郎氏が事業仕分けを見て「うらやましい。あれを自分もやりたかった」と述懐されたそうである。いっそ民主党に鞍替されてはいかが。彼の祖父河野一郎は吉田内閣打倒、鳩山一郎(現首相の祖父)内閣成立の立役者で鳩山内閣では執権といわれるほど権勢を振るった。孫同士が手を握るのはごく自然なことだ。
余談だが、民主党屈指の論客である枝野幸男氏が事業仕分けのトップについたのは、小沢一郎氏にうとまれ大臣にも党の役職にも就けなった彼を気の毒がった鳩山首相や仙石大臣の温情だろう。
鳩山首相の政治資金問題にも関わらず、支持率がさほど落ちていないのは事業仕分け支持によって底上げされている効果が大きい。
(ジャーナリスト 青木 亮)
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