社会
特に埼玉県、さいたま市の政治、経済などはじめ社会全般の出来事を迅速かつ分かりやすく提供。
民主党政権が誕生して百日が経過し、来年度予算案もまとまったので鳩山内閣の政策を評価してみることにする(順不同)。
ガソリン税
道路特定財源としてではなく一般財源として残したのは結構だ。お金に色はついてないのだから目的税としての環境税にこだわることはない。
高校無償化
所得制限しないのはおかしいという人もいる。だが小中の義務教育無償は所得の多寡を問わない。義務教育無償原則が高校まで拡大されたと見れば所得制限しないのも理に適っている。
高速道路無料化
全国一律無料化では渋滞、大気汚染、鉄道・フェリー・バスなど公共輸送機関へのダメージ等多くの好ましくない副作用があるので、そうした懸念のない地域に限定する方針でいい。
普天間移設
自民党政権時代の日米合意を反故にすると仮定して、日本政府がアメリカに対して言えることは「日本国内に代替地を用意します(沖縄県とは限らない)」又は「(場所を特定することなく)日本国内に代替地は用意しませんのでそちらで探してください(日本国外で)」のいずれしかない。日本側がアメリカ領であるグァムを移転先としてあげるのは筋が違う。
鳩山首相も「私を信じてください」などと相手に無用の期待をもたせる言い方はしないほうがいい(この問題によって半占領軍としての米軍の本質が顕(あらわ)になった)。
診療報酬引き上げ
診療報酬のあり方自体も検討すべきだ。投薬や検査しないと病院の収入にならない今の制度が無用な投薬や検査の背景にある。その代わりに消費者も意識を変えて、無形の診断や助言にも価値を認め進んで金を払うようにしなければならない。
太陽光発電
民主党は太陽光発電の電気を買い上げることによってこれを推進しようとしている。だが太陽光発電がどれだけCO2削減に効果があるのか疑問がある。太陽光電池パネル自体非常に高価である上に寿命も15年程度でしかない。電機メーカー支援政策としてなら意味があるがそれでは産業間の公平性が問われる。
一方日本の電力各社の発電設備の年平均稼働率は六割前後でしかない。八月のピークに備えて余剰な設備をかかえているからである。これを例えば季節別料金を設定することで稼働率を平準化すれば二乃至三割の発電設備は不要となる。
過疎地にはるばる高圧電線を引っ張るのは効率が悪いし景観上も問題だ。それより燃料電池等の自家発電を推進したほうがいい。それに対し公的補助を与えたとしても高が知れている。電力会社に無駄な投資をさせないことが延いてCO2削減につながり電気料金も安くできる。
民主党が新成長戦略で掲げる「木材自給率50%」とも関連するが、日本には木炭という再生可能なエネルギー資源がある。林業の副産物である間伐材で木炭を作れば廃棄物の有効利用にもなる。勿論現状では燃料としての価格競争力がないので森林再生と合せて公的支援を考慮すべきだ。森林再生は洪水防止、水資源涵養、漁業資源保護にもつながる。
間伐材で作る割り箸は決して資源の浪費ではなく林業廃棄物の有効利用なのだから、割り箸の使用はむしろ森林保護に繋がる。「マイ箸運動」は森林保護運動としては無意味である。
地方主権
民主党がいう「地方主権」は意味不明。子供手当て、高校無償化、農家の所得補償は全国一律で決めて地方に何を決めさせようというのか。高々ひも付きでない補助金を増やす程度の意味であれば地方主権とは大袈裟だ。
道州制も到底実現不可能。北海道、東北、四国などは決して財政的に自立できないからである。それより国―都道府県―市町村という三層構造の非効率が問題。都道府県を廃止するか又は市町村を廃止して都道府県の出張所にすることによって二層構造にするほうがいい。これを「廃藩置県」ならぬ「廃県置藩」という人もいる(中谷巌氏)。江戸時代のように独立した藩を置くのである。
定住外国人の参政権
地方参政権と国政参政権の区別は絶対的なものではない。従って地方参政権は認めるが国政参政権は認めないという民主党案より帰化要件を緩和して日本国民として両方共認めるほうがいい。地方参政権だけ認められた半日本人を作るべきではない。
アメリカ独立戦争のスローガン「代表なくして課税なし」に倣って、課税する以上は選挙権も認めるべきだとの主張もあるが、納税は行政サービスの対価であって必ずしも選挙権とは結びつかないという考えかたもある。
(ジャーナリスト 青木 亮)
バックナンバー
新着ニュース
- エルメスの跡地はグッチ(2024年11月20日)
- 第31回さいたま太鼓エキスパート2024(2024年11月03日)
- 秋刀魚苦いかしょっぱいか(2024年11月08日)
- 突然の閉店に驚きの声 スイートバジル(2024年11月19日)
- すぐに遂落した玉木さんの質(2024年11月14日)
特別企画PR