社会
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菅直人財務大臣の発言
菅大臣の為替レートに関する発言にはおどろいた。金融財政の当局者は為替レートに関して発言してはならないという不文律はさて置き、内容面でいただけない。
彼は「経済界は円安を望んでいる」と言ったが彼のいう経済界とは何か?それはトヨタ、ソニー、パナソニック等輸出依存度の高い大企業である。個々の業界を見ると鉄鋼業界は原料輸入額と製品輸出額がほぼ拮抗しているので、為替変動の損益は相殺される。従って取り立てて円安を望んでいるわけではない。一方で原料を100%輸入し内需だけの電力、ガス、石油業界は円高を望んでいる。従って「経済界は円安を望んでいる」とは到底言えない。菅蔵相のいうところの「経済界」は高々経済界の一部の希望に過ぎない。
円安に振れるとニッケイ平均株価が上がることが多いのであたかも円安は日本経済にプラスだと思い込んでいる人が多いが(菅さんに限らず)これはニッケイ平均を構成する225社の中では輸出割合の大きい大企業の比重が高いことからくる錯覚に過ぎない。
それに民主党は「供給サイド(企業)から需要サイド(消費者)へ」をスローガンにしている。円高は輸入品価格や光熱費が下がるので一般消費者の利益となる。一部輸出企業の利益にはなるが消費者の利益に反する円安容認はこのスローガンとも矛盾する。
彼が勝間和代さんを呼んで経済に関する話を聞いた辺りから閣僚としての資質に疑問をもったが、これほど経済音痴とは知らなかった。
もっとも彼の経歴を考えればさもありなん。東京工大卒の弁理士ではあるが、弁理士としての実績は皆無。後は市川房枝の選挙を手伝ったのを皮切りに市民運動家の道から国会へ。サラリーマン経験もなければ会社経営の経験もない。多分会社の決算書を読むこともできないだろう。
農業所得補償
農業所得補償は零細農家を保護することになるので農地集約・農業大規模化と矛盾する。全国一律に所得補償するのではなく大規模化がむずかしい山間地等に限り(棚田の保全は水害防止にも資するので減反対象からも外すほうがいい)平野部では大規模化を後押しする政策が望ましい。
成長戦略
「民主党には成長戦略がない」という声を気にしてか、昨年末付け焼刃で「成長戦略」を発表したが、今語るべきは成長戦略などという威勢のいい話ではなく会社更生法ならぬ国家更生法である。JALの運命は明日の日本国の運命である。年金削減、金融機関の債権放棄(国債のデフォルト)、人員削減(公務員削減)等。
国債を国内で消化できなくなったら国外で消化すればいいという人もいるかもしれない。だが超低金利の日本国債を買う外国人投資家はいない。かといって金利を上げれば財政破綻を早めるだけである。
冷戦終結後の日米安保条約の意味
日米安保条約は東西冷戦が熱い戦いに発展した最中(朝鮮戦争)に締結され仮想敵国はソ連と共産中国及び北朝鮮であった。だがソ連は崩壊し社会主義と決別し、中国も一応社会主義を標榜しているが鄧小平の改革開放政策以後の実態は社会主義国というより開発独裁の一亜種と見たほうがいい。この両国がアメリカと軍事的に敵対することはもはやありえない。残る脅威は北朝鮮だけである。その北朝鮮のためだけに日本がこれほど多くの軍事基地をアメリカに提供する必要があるのだろうか。北朝鮮を仮想敵国とした場合米軍基地は沖縄ではなく日本海側の隠岐島空港若しくは鳥取県美保基地が適当だ。敵国を想定しない軍事同盟など無意味である。「東アジアにおける米軍戦力は第七艦隊だけで十分だ」との小沢発言もそうした認識に基づく。
ところが今の日米安保条約はアメリカの世界戦略に奉仕するものに変質している(その間米軍の半占領軍としての性格は一貫して変わらない)。誰かが「日米安保条約は変質した」と言わなければならない。普天間の移設問題もそうした大文脈の中で見直す必要がある。
(ジャーナリスト 青木 亮)
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