社会
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最近少なくとも二度鳩山首相は日本語を間違えた。
一つは朝三暮四(ちょうさんぼし)を朝令暮改(ちょうれいぼかい)と取り違えた。しかも国会の委員会で。
もう一つは、政治資金問題で小沢幹事長に「進言したい」と言った。「進言」とは目下のものが目上のものに意見を言う時使う。鳩山さんは民主党のトップでしょう?この場合「忠告」が正しい。
麻生さんといい鳩山さんといい、多少英語はできるかもしれないが肝心の日本語があの程度では英語のレベルも知れている。人は母国語以上の外国語能力が身につくことは決してない。お二人ともお祖父さんの吉田茂と鳩山一郎の書いた文章を完全に理解できないのではないか。特に鳩山さんはお祖父さんの「友愛」をどこまで理解しているのか。
「売家と唐様で書く三代目」とは三代目ともなると商売はダメでも教養だけは初代に優るという意味だ。政界の三代目は教養においても初代に遠く及ばないと見える。
鳩山首相は「友愛」や「愛」が好きだが、首相がある決断をすることは常に誰かの恨みを買うことを意味する。ましてや改革とは既得権を剥奪することだ。みんなを愛しみんなに愛されたいと願うのであれば首相になるべきではない。
故早坂茂三が国会議員になりたての鳩山さんに「あなたは政治を何と心得ているか」と質問したところ鳩山さんの答えは「愛です」。早坂「何をそんな甘ちょろいことを言っているんだ。政治とは国民を食わせることだろう」。
昨年大晦日の私のブログで「鳩山首相2010年退陣確率80%」と書いた。今これを修正する必要を認めない。
鳩山首相は普天間基地移転問題に関しオバマ大統領に対し英語で「Trust me(私を信じてください)」と言った。日本人はディベートを好まずこうした言葉で議論を打ち切ろうとすることが多いが外国人に対して言うのは問題だ。ましてや外交交渉の場でこれを言うのは金額白地の小切手を渡すようなもので無用な期待を与えることになる。
昔佐藤首相が繊維問題に関するニクソン大統領との会談で「善処する」と言ったのを通訳が「最善を尽くす」と訳しニクソンを喜ばせ、後に深く失望させることなる。こうした表現も「信じてください」と同様不適当な表現だ。
日本的表現の直訳が外国人にどう受け取られるかを学ぶことも英語学習の目的としなければならない(トヨタの社長もリコール問題の記者会見の席で「Believe me」と言ったが鳩山首相から教訓を学ばなかったのか)。
永田町の隠語
永田町で今すぐ実行可能な改革がある。それは政治家の隠語をなくし普通の言葉で語ることだ。以下に実例をいくつか挙げる。
政局
倒閣のこと。与党反主流派或いは野党幹部が「これを政局にするつもりはない」というふうに使う。この使い方は辞書にもない。
万全を期す
大臣が好んで使うが実際に万全を期した例(ためし)はない。人間に「万全を期す」ことなどできやしない。これも外国人相手に使わないほうがいい。
慎重
慎重の反意語は軽率だから慎重に行うことに誰も異存はないはずだが、永田町で「慎重」とはやらないことを意味する。例えば「外国人参政権の扱いは慎重に」とは「外国人参政権は認めるな」という意味である。
遺憾
遺憾とは単に残念を意味する。本場中国では普段の会話でも使われありふれた言葉だが謝罪の意味はない。日本では言うほうも聞くほうも謝罪の意味があると誤解している。
(国会で)審議に応じる
単に国会の審議に応じるという意味に止まらず法案の通過に協力するという意味。
私の不徳の致すところ
政治家が落選した時の決まり文句。だが内心は「後援会、秘書、メディア」のせいであって自分のせいではないと思っている。
善処する
何もしないこと。上の佐藤首相の例で通訳が「何もしません」と正確に訳せば日米の外交問題になったことだろう。
上記の言葉を外国語に直訳すれば間違いなく誤解される。
(ジャーナリスト 青木 亮)
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