社会
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舛添要一さんが離党した。執行部批判をすることで自らへの求心力を高めようとしたが、逆に自分を追いつめ引込みがつかなくなった。彼に副総裁や選挙対策本部長代理のポストを提示して引き留めようとした執行部も間が抜けている。彼がそんなポストに満足するはずがないことは傍で見ていてもわかる。
だが一人で離党したのでは格好がつかずしかも政党助成金ももらえないので、党首の肩書と政党助成金ほしさに倒産寸前のボロ政党を買収した構図だ(もっともお金は一円も出していない)。舛添新党へ自民党から追随者が一人もいなかったことからも彼の党内での人気のなさがわかる(彼は自民党内でもドケチで有名)。彼が主宰する勉強会の仲間にも声をかけなかったのは説得する自信がなかったのだろう。
彼は若くして東大助教授になったが品行が悪くて中々教授になれず嫌気がさして東大を飛び出した男だ。元の夫人である片山さつきさんが「彼はいろいろ東大を批判したが、その批判は東大改革にまったく活かされていない」と批判していた。彼はおよそ組織の中にあって組織を動かすタイプではない。
舛添さんの心中を忖度すれば以下のようなものではないか。
仮に自民党総裁になれたとしても次の衆議院選がある2013年の夏まで政権交代はない(首相が代ったとしても)。自身はその時64歳と若くはないしそれまで人気が続く保証もない。だからと言って自民党からいきなり民主党入りするのは外聞が悪いし、反小沢の建前もある。一階(自民党)から二階(民主党)へ上がる踊り場として取り敢えず改革クラブの看板を利用させてもらおう。改革クラブも自分の名前で次の参議院選挙を戦えなければ惨敗する可能性が高いのでイヤとは言わないはずだ。この際、郵政民営化を巡る政策の違いなどどうでもいい。ありがたいことに与党と違って野党内の意見の違いなど大して問題にならない。
あわよくば自分が動くことで政界全体の流動化のきっかけとなり、民主党の分裂を促す(小沢党と反小沢党)。衆議院でどの党も過半数を占められず、本格的(?)連立政権が誕生すればその首相に担がれる可能性もある。といったところか。
彼の経済政策と言えば、一時クルーグマンのインフレターゲット論を盛んに売り込み、それを受け入れない当時の速水日銀総裁を口汚く罵っていたが、御本尊のクルーグマン自身インフレターゲット論は間違いだったと認めたのでハシゴを外された格好だ。横文字を縦にするのが学問だと思い込んでいる日本の学者の通弊から彼も無縁ではない。
憲法上首相は国会議員でなければならない。参議院議員でも構わない。但し現憲法下で参議院議員の首相は一人もいない。どうしても衆議院の議席にこだわり、しかも2013年まで待てないのであれば、どこかで衆議院補欠選挙に立候補する手はある。
去年の文藝春秋9月号(衆院総選挙前の8月10日発売)で中曽根康弘氏と読売の渡辺恒雄氏の対談が載っている。その中で渡辺氏が次のように語っている(青字部分)。
もし自民党と民主党の増減が150というレベルに達したら(当時自民党はおよそ300議席あったので、150議席を割り込むのと同義)自民党は半永久的に野党になるでしょうね。 中略 150だったら自民党は絶望的です。自民党だけが割れて民主党に吸収されてしまうこともある。以下略
さすがに長く政治記者として永田町を見てきた人だけのことはある。事態はほぼ渡辺氏の見立て通り進んでいる。
永田町の鉄則。与党は(失うものが大きいので)分裂し難し。されど野党は(失うものが少ないので)分裂し易し。
鳩山首相、検察審査会不起訴相当の議決
4月20日明石歩道橋事故で明石警察署の元副署長が業務上過失致死罪で起訴された。検察審査会の議決の結果である。
この例から鳩山小沢事件も検察審査会の議決による起訴に期待を寄せる人もあった。だが結果は同じ不起訴でも両者はまるで違う。明石事件は身内を庇いたい検察には端(ハナ)から捜査する気も起訴する気もなかった。一方で鳩山小沢事件は起訴したくて特に小沢事件では直接関係ないゼネコンまで捜査したが、公判維持つまり有罪判決に自信がもてなかったから不起訴にしたのである。
(ジャーナリスト 青木 亮)
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