文芸広場
俳句・詩・小説・エッセイ等あなたの想いや作品をお寄せください。
朝のラッシュ時、駅のホームに立っていると後ろにいる男性たちの会話が聞こえてきました。
「さきほど、あなたと同じ電車に乗っていたのですが、それ、あぶないと思いませんか?周りの方にぶつかって大変危ないと思いましたよ。」
後ろをチラッと見ると、年配の男性が隣にいる男性に話していました。
一瞬ドキッとしました。
注意された人が逆ギレしたというニュースをよく目にします。
実際、駅でのトラブルは何度も見ていますし、殴り合いという見たくもない場面に遭遇したこともあります。
心の中で、ケンカが始まらないようにと願いました。
話を聞いている男性は、リュックサックを背負っていました。
‘これか……’、私も状況がつかめました。
満員電車の中でリュックサックを背負っていると様々な問題が起きます。
私も目の前にいた男性がファスナー付きのリュックサックを背負っていたため、顔にファスナーがあたって痛い思いをしたことがあります。
話を聞き終えた男性は、「すみませんでした」と返事をしました。
ただ、返事はしたものの、リュックサックは背負ったままでした。
40代とおぼしき、この男性は、見た目ごくごく普通の人です。
ただ、この行動を見ていると、この人は自分が言われたことを理解しているのかなと心配になりました。
電車が到着したとき、リュックサックの男性がそのまま乗り込んだら、また周りに迷惑をかけてしまいます。
満員電車に乗る時はリュックサックを背中からおろすことがルールになっています。
その男性は、言われたことを理解していないような気がしました。
私はホームで電車を待っていたのですが、電車がきたらどうなるのだろうかと考え、ドキドキしてきました。
とうとう電車がやってきました。
そして、電車に乗る瞬間、リュックサックの男性がリュックサックをおろして胸の前で抱えました。
良かった!リュックサックの男性はわかっていたのです。
きっと年配の男性は腹立たしく思う点もあったのでしょうが、そのような気持ちを抑えて、極めて穏やかな口調で危険性を語っていました。
だから、相手も素直に話を聞くことが出来たのかもしれません。
紳士たるもの、こうでなければなりませんよね!
目的地にむかう電車の中で、私はすがすがしい気持ちになっていました♪
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