文芸広場
俳句・詩・小説・エッセイ等あなたの想いや作品をお寄せください。
夕方6時のスーパーマーケット。
買い物を済ませ足早に建て屋より少々離れたうす暗い駐車場に急ぐ。
駐車場の入り口で、私の前の男性二人の緊迫した会話を耳にする。
「じゃあ、私はこちらから見ます」
「わかりました。では、私はあちらから・・・」と、ふた手に分かれ颯爽と歩きだす二人。
まるで刑事ドラマの一場面の様なその光景に、何を見るのだろう? と、私の好奇心が刺激された。
出来れば犯人逮捕に私も貢献したい・・・ なんて欲まで飛び出す始末。
欲深い私は、そっと「こちらから・・・」と言った男性の後に続き、忍び足で駐車場を歩く。
というよりはその男性を尾行した。尾行しながら周りの様子をくまなく観察する。
何か特別な事が起こった様子はない。怪しい人影もない。
すると、緊張一色の駐車場に私の持っているスーパーの買い物袋がガサッ音をたてる。
尾行失敗。男性が私に気付いてしまった。
すると、男性は笑顔で「ありがとうございました」と、私に言う。
「ん? ありがとうございました・・・」よく見ると男性はスーパーの店員さんだったのだ。
尾行失敗の私はもう観念するしかない。素直に疑問をぶつけてみた。
「何を見ているのですか?」
すると店員さんは少し不思議な顔をして数秒考えた後、幼い子供に話すように優しく、
「買い物カートの置き忘れを回収しに来たのですよ」と教えてくれた。
なるほど、犯人は買い物カート・・・(^^ゞ 一件落着!
ちょっと刺激的な警察ごっこでした。
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