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コラム …男の珈琲タイム
秋色が深まると、やはり人はセンチメンタルな気分に浸るものだ。何故か私は子供時代の恋愛、といっても私の恋物語ではない。私よりはるかに年のいった大人たちの恋物語を思い出しては、あたかも自分自身の恋のような錯覚に陥っている。
「ひと目」ということがずっと昔から、私の恋心と二人三脚をしては離れることがないのだ。「ひと目逢いたい」はほとばしる恋の感情だ。「愛染かつら」も「君の名」もひと目逢いたかったのだ。そしてひと目が果たされず悲恋としてその恋は散ってゆく。秋の枯葉のように。
枯葉といえば、シャンソンの名曲の一つにあるが「しかし、私は貴方を愛してきたが多くの誤解を与えてしまった・・・」という日本語訳があったが、恋は錯覚と誤解が溶け合って甘美な味を醸し出しているのかもしれない。五輪真弓の「枯葉散る・・・この別れ話は冗談だよと笑って欲しい・・・」もせつなく、物悲しい恋の結末を表していて沈痛さすら覚えてしまう。
さて、先日私は「ひと目お逢いしたかった」と私の高校時代の後輩からメールをもらい、その彼の激しい誠実さに打たれた。
彼はメール通り川越駅で30秒ほど私に逢い、一言も言わず笑みだけを残して、所用のため去って行った。
30秒が私と彼との絆を一生のものにしたような気がした。ひと目のために本気になれるのは、既に達人ではないかと思った。この鋭い感情や感性なくして非凡なる人生は構築できないと思った。事実、彼はスポーツ界、もっといえば、教育界の一流人だ。
人としてこの世に生まれ、生きてゆく以上、この「ひと目」という感情の連鎖こそ人生を豊かにして大いなるものにするのだと確信を持った。
「秋の夜は更けてすだく虫の音に、疲れた心癒す、やさし君が微笑・・・♪」
どこまで歩いても、私の心は秋に染まり、恋する心が追いかけてきて離れるいとまがないほどだった。
(鹿島 修太)
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