トップページ ≫ 教育クリエイター 秋田洋和論集 ≫ 品格ある子どもの育て方第一章 「品格のある子ども」ってどんな子?(1)
教育クリエイター 秋田洋和論集
なぜ子どもに「品格」が求められるのか
~大人への準備を濃縮して学ばせる~
「子ども」とはいったい何歳までを指すのか、みなさんはお考えになったことはありますか?私が考える子どもとは、遊び・学習・成長の過程で、
・大人に憧れ、大人のマネをしながら
・大人の文化を吸収しようとしている
時代を指します。
したがって、子どもでいる間は、大人の文化にあこがれながらも(例えばママゴトをしたり大人ぶった振る舞いをしたり)、実際には地域や学校、家庭の子ども扱い、子ども向けのルールの中で保護されながら行動しているので、大人の文化に触れる機会はそれほど多くないと考えられます。
自分自身を振り返ってみても、中学・高校時代までは大人の文化とは一定の距離を保ちながら生活していたような気がします。逆に言えば、子どもである限り「大人になるための準備期間」をタップリ取ることができる、とも言えるでしょう。
しかしながら、ある時期を境にしてこの準備期間が急激に短くなっているような気がします。私にはこのことが、
「子どもたちがおかしいぞ」
という警鐘の大きな要因に思えてならないのです。
では、この準備期間が短くなった原因はいったいどこにあるのでしょうか?私は子どもを「消費者として捉える時代」が到来したからだと思っています。具体的には何年ほど前からこの傾向が見られるのでしょうか?
「イチゴ世代」という言葉をご存知でしょうか。一般的には団塊ジュニアの世代、第2次ベビーブーム(1971~1974年生まれ)の子どもたちを指すようです。実はこの言葉こそ15歳を「消費者」として扱った象徴なのです。
イチゴ世代の子どもたちが15歳の頃と言えば、バブル真っ盛り。厳密に言うと当時の社会は、子どもたちのサイフをあてにしたわけではなく、彼らの両親と祖父母のいわゆる「シックスポケット」をターゲットにしたわけです。
こうした時代背景もあり、お正月や誕生日のたびに、子どもたちはシックスポケットから潤沢な資金を得ることができました。
ですから、イチゴ世代は15歳にして、大人の文化を享受できるようになったさきがけであり、十分な準備期間を取らないまま大人扱いされるようになった始まりの世代だと言えるのです。
準備期間という視点で考えると、現在に至るまで最も深刻な影響を及ぼしているのは、実はイチゴ世代の次、つまりバブル期に小学生時代を過ごし、バブル崩壊後に高校生となった子どもたちの生態だと考えています。
少なくともイチゴ世代は、大人の文化を遠いものと捉えながら、小中学生時代を過ごし、ある日突然、消費者扱いされ、タナボタ式に大人の文化を享受するようになりました。
しかし、イチゴ世代の次の世代は、小学生のうちから15歳になれば大人の文化を享受できることがわかっていて期待していたわけです。この時点で、簡単に言えば準備期間は3年縮まっています。
問題なのは、彼らを取り巻く状況の劇的な変化に対して、彼らの内面の成長が追いついていたか、ということなのです。つまり、この世代を境にして、中学生そして高校生たちは、
「内面は子どものままなのに環境は大人扱い」
という二面性と上手に付き合う必要が生じているのです。
実際にバブル崩壊以降、私が危惧している世代の子どもたち、特に女子高生たちが流行に火をつけ、消費の中心になった商品がたくさんありました。
例えば「プリクラ」や「たまごっち」、そして「
逆に、大人の文化を先取りして享受できた代表例がカラオケ、ポケベルだったわけで、このポケベルは現在でも、携帯電話として子どもたちの生活に大きな影響を与えています。
「品格ある子どもの育て方(PHP文庫) 秋田洋和著」より
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