トップページ ≫ 教育クリエイター 秋田洋和論集 ≫ 品格ある子どもの育て方第一章 「品格のある子ども」ってどんな子?(8)
教育クリエイター 秋田洋和論集
自分で判断して自己管理できる子どもにする
~なぜ結果が出せないかを考えさせる~
品格のある子どもには、
・自分が持っている経験・技術・知識を組み合わせて
・その場で判断していくための思考力・洞察力が備わっている
ことが必要です。そのためには幼児期を過ぎたある段階からは、普段から考えさせる、手を動かして何かを見つけることを意識させるように大人が仕向け、子どもが自然にこれらの能力を身につけるためのサポートをしなければなりません。
高校野球のお話をしたように、いつも「監督のサインを待っている」受け身の姿勢からは、何も新しいモノは生まれません。お子様をお持ちの方は監督を親に読み換えてください。そういった子どもたちでは、8回、9回の大逆転なんてまず無理なのです。
前述した試合で、帝京が土壇場で8点取ったときに、帝京の監督は選手たちにどんなサインを出したでしょうか? 何も出していないと思います。「思い切り打て」と言うだけだったのではないでしょうか?
選手たちは監督の手を離れて、自分たちで逆転したわけです。ここ一番で、サインなど見ないで活躍したのです。こういったチャンスはいつ来るのか、なんてことは誰にもわかるはずはありません。しかし、
「いつ来ても大丈夫なように準備をしておく」
ことは、監督(親)として当然の務めなのではないでしょうか。
もう少し具体的に話を進めましょう。私は受験生に対して、
「結果が出ない努力は無駄な努力」
と言うことがあります。ウチの嫁(妻)は「それは違う」と言いはるのですが、この言葉について考えてみたいと思います。
私がこの言葉を生徒に言う理由、それは切捨てのためではありません。「結果を出すために、自分自身に何がたりないか」を考えることもなく、ただ漠然と同じ失敗を繰り返すことが、一歩でも合格に近づく努力ではないからです。
合格したいと思って勉強するのであれば、「どうやればうまくいくか」「何を工夫すればもっと向上するか」を考え続けなければ、わざわざ楽しみを我慢しながら勉強する意味がないし、受験に終始しない無形の力を得ることがないからなのです。
もちろんスポーツであれば、「合格する」を「勝つ」に読み換えるだけのこと。勉強もスポーツも「勝敗以外に何を得るか」を指導者は考え、そして理解させないと、やりがいなんてないわけです。
このとき指導者が気をつけなければならないのは、言われなくてもわかっている子ども(選手)は少ないということです。だから、怒らずに落ち着いて伝えなければなりません。みなさんの経験を無理やり押し付けるのではなく、
・子どもたちにも経験させながら(失敗させながら)理解させる
・自然に気づかせる
のも指導者の仕事なのです。そのためには、嫌われ者にならなければならない瞬間だってあります。
子どもたちから見れば、1から100まで指示されたほうが楽に決まっています。指示された通りにさえ動いていれば、結果がどう出ようが「俺は悪くないよ、言われた通りにやったもん」と言い訳できるからです。
ですから、自分で考える子どもを育てたければ、それとは逆のことを要求しなければなりません。だから指導者の側にも覚悟が必要になります。
「品格ある子どもの育て方(PHP文庫) 秋田洋和著」より
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