トップページ ≫ 社会 ≫ 深刻化する高経年分譲マンション建替え問題
社会
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日本に分譲マンションが生まれて70年が経とうとしている。確実に増え続ける築30年を越える高経年マンションにはどのような問題があるのか。一つは「耐震基準」の問題である。昭和56年に新耐震基準が制定され、これ以前に確認申請を受けた建物は「旧耐震基準」とされ、震度6程度の地震を想定していない。南海トラフ巨大地震等の大地震が予測されている今日、多数の人が暮らすマンションの耐震化は緊急課題である。耐震補強で住みつづけるのが良いか、将来的な資産価値を考え、建替えた方が良いのか、判断は簡単ではない。また、築30年越えの建物は、設備の更新が難しいケースも多い。実際に、設備(配管等の老朽化)の更新に限界があり、それを機に建替えに踏み切ったマンションもある。
高経年マンション増加に向け、平成14年「マンション建替えの円滑化等に関する法律」(以下、円滑化法)制定された。しかし、旧耐震基準のマンション戸数106万戸と言われる中、建替え件数は累計196件、約1万5500戸(平成26年4月時点)に止まっている。そんな中、平成26年12月に円滑化法が改正された。主な改正内容は「耐震不足の認定」を受けたマンションを対象に、容積緩和やマンション敷地売却制度が新たに定められた。耐震不足のマンションに対しては、ある程度強制力を持って建替えを進めるという意図がうかがえる。
もう一つ、高経年マンションの問題として、区分所有者の高齢化があげられる。高齢者にとっては経済的にも精神的にも、建替えはあえて取り組みたくない問題だ。しかしそのままにしておけば、いずれ空室が増え、管理も疎かになり、スラム化するおそれもある。マイナス面ばかりが目立つようだが、高経年マンションには既存の「コミュニティ」という財産がある。建替えによって若い世代が加わり、地域が活性化した事例もある。マンションという集合体は地域にとって大きな影響があり、区分所有者の人たちだけの問題ではないと認識も必要である。埼玉県でも今後増えるであろうマンション建替え問題。補助金制度等、早急な制度の充実が望まれる。
本山 千絵
- 参考
- 「マンション建替えがわかる本 円滑化法改正でこう変わる!」
- http://books.rakuten.co.jp/rb/13306348/
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