トップページ ≫ 外交評論家 加瀬英明 論集 ≫ 明治維新の三つの目的
外交評論家 加瀬英明 論集
日本ではじめて先進七ヶ国(G7)サミットが催されたのは、昭和五十四(一九七九)年のことだった。今ではロシアが加わって、G8となっている。大平内閣の時で、私は園田直外層の顧問をつとめていた。
会場となった赤坂の迎賓館の前庭で、ホスト国の太平首相を囲んで、六カ国の首脳とヨーロッパ共同体(EU)事務総長が、記念撮影に収まった。今日でも変わらないが、日本だけが有色人種の国だった。
私は「日本は偉い国だ」と、誇りに思った。しかし同時に「日本だけが白人と並ぶ国となったのは、他のアジア・アフリカ諸国の民と違って、模倣することに長けているからではないか」と、訝った。そして、明治維新を行なった先人たちは、三つの目的を持っていたにちがいないと、訝った。
そして、明治維新を行った先人たちは、三つの目的を持っていたに違いないと、思った。
一つが日本の政治的独立を全うすること、二つが経済的な独立を全うすることで、そして三つ目がもっとも大切であったにちがいない。日本の文化的な独立を守ること、だった。
しかし、西洋に追いつき、追い越そうと熱中するうちに、目的と手段を混同するようになってしまったのではないか。あれから四半世紀以上がたつが、日本はますます西洋を真似た国になっている。
私はキリスト教信者ではないが、新約聖書のなかに気にかかる一節がある。
『ヨハネの福音書』のなかに、ニコデモという学者がイエスに質問する場面がある。
「もう一度新しく生まれなさいっていっても、よいトシをした私が、もう一度おふくろの腹のなかに入って、出てくるわけにゆかんでしょう」
すると、イエスが、「水と精霊によって洗礼を受けなければ、新しく生まれ変わることはできない」と答える。
私たちももう一度、母なる日本文化の胎内に入って、そのなかを見きわめて、再び踊り出ることが必要なのだ。
「徳の国富論」 十章 親を粗末にする者は国や人を愛せない
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