トップページ ≫ 社会 ≫ 東日本豪雨リポート – 常総市の現状 ②
社会
特に埼玉県、さいたま市の政治、経済などはじめ社会全般の出来事を迅速かつ分かりやすく提供。
市役所の周囲に目を向けてみる。
この地区は水海道(みつかいどう)地区といい、住宅街が広がっている。
近くには関東鉄道常総線が走っているのだが、運行は中止されていた(17日現在、取手~守谷駅間は通常の5割程度で復旧。守谷~水海道駅間はバスによる振替運行)。
この地区は決壊した鬼怒川と無事であった小貝川に挟まれた平坦な土地であり、筆者が見た限り、一帯全ての建物1階部分は床上浸水に見舞われていた。
その高さは床上170cmで、地表からだとゆうに200cmを超える高さにまでおよぶ。
住民のひとりに話を聞くと、大量の土砂を含む水が屋内に入ってきて、畳や箪笥などの家具が全て浮き上がってしまったとの事だった。
浮き上がった家具類は水が引くとともに床面に降りてきたが、畳は剥がれてめくり上がり、家具類は重なり合うように倒れていた。
しかも大量の土砂にまみれている。
まだ、水も乾ききっていないので、まるで泥沼の中に踏み入る様な気がした。
当然ながら、家の中に入るには靴のままでないと入れない。
発災までは玄関で靴を脱ぎ、上がっていた家の中に土足で入らざるを得ないのは、その家のご家族のもののお気持ちはいかばかりかと、心が痛む。
そして、この状態を片付ける為には、先ず、重なり合っている畳や家具を表に出すより他はない。
9月10日の発災後、翌日は水が引かず、12日よりやっと手が付けられるようになったそうだが、高齢者ばかりの若い人のいない家庭や人数の少ない家庭だと大変困難だ。
13日には被災を免れた地元の高校生や中高年の方によるボランティアの方々が手伝いに来て本格的な片付けが始まったもののそれでも十分とは言えない。
なぜなら、ありとあらゆるものが土砂を含んだ汚水を含んでいて、とにかく重い。
畳一枚を運び出すのに大の大人4人がかりでやっと動かせるほどの重さだ、それだけで重労働である。
古い大きな家だとそれが何畳も何畳もある。
家具も同様。箪笥の中身の衣類、押し入れの中の布団、どれもが水を含みとにかく重い。
そして匂いもきつい。
上流からの土砂、田畑の土、堆肥、浄化槽も溢れたことによる汚物も含まれる。
それらの汚水をかぶり、腐敗臭が漂う家財道具をとにかく運び出すのだ。
やっと運び出しても、家中が泥だらけの状態。
これを乾ききる前に水で洗い流してしまわなければならない。
乾くと落とすのが容易ではない上に、大量の土埃が舞うことになる。
それもばいきん病原菌を含む可能性の高い、大変危険な土埃だ。
でも、まだ、この地区は停電、断水の真っ最中。
日中しか作業が出来ない上に、洗い流すための水が無い。
配給で水をもらうか、被災していない場所に行って水を汲んでくるより方法はない状況で、被災者は一体どうすれば良いのか、途方にくれていた。
また、運び出した廃棄物はどの家の前にも大量に積まれている。
16日の報道にあった通り、それらの廃棄物の処理が追いついていない。
市内のゴミ処理場は受け入れられる余裕がなく、臨時のゴミ置き場も収容が難しい上に、その場に至る道が渋滞しており、往復で数時間もかかってしまう。
まだまだ廃棄物は増えてくることが予想される。周辺自治体の受け入れ態勢が急務だ。
これらの状況を直接見て感じるのは、自然災害の凄まじさと被害規模の甚大さ、その復旧に向けて自治体、住民の費やさなければならない時間と労力がとてつもないものだという事。
被災者の避難所暮らしもまだまだ続くと思われる。
避難所暮らしが合わずに避難所を転々とする人も出てくる可能性もある。
健康を害する人もでてくることも予想される。
行政の支援から漏れ落ちる人の無いような、きめ細かいケアの体制を官民共同で作ることが必要だ。
前田 兼続
バックナンバー
新着ニュース
- エルメスの跡地はグッチ(2024年11月20日)
- 第31回さいたま太鼓エキスパート2024(2024年11月03日)
- 秋刀魚苦いかしょっぱいか(2024年11月08日)
- 突然の閉店に驚きの声 スイートバジル(2024年11月19日)
- すぐに遂落した玉木さんの質(2024年11月14日)
特別企画PR