社会 …社説
先日のことではあるが、大阪のダブル選挙では維新の候補が知事選・市長選ともに大差で制する結果に終わった。これにはいろいろな要因~特に地元特有の事情など選挙区内でしかわからない~があったと思うが、このところ国政では強い自民党が首長選挙で負けるという傾向が続いている。この背景にあるのは何か。それは自民党における県連組織の政策立案能力とガバナンス力の低下ではないだろうか。
大阪ダブル選挙においても、一旦は住民投票で否決された大阪都構想を再び持ち出した維新の会に対して、自民党大阪府連は都構想反対を訴えの軸にして、大阪府と大阪市の将来のヴィジョンを示せなかった。また、スキャンダルが週刊誌で報じられた滋賀県選出の武藤貴也衆議院議員の背景にもこの構造があるようだ。それは、対立する嘉田前滋賀県知事側から彼を引き抜き公認候補にしたのは自民党滋賀県連の幹部たちということだそうだ。滋賀県では嘉田前知事の後任を決める知事選で自民は敗北。それに加え今回のスキャンダルにしても、武藤氏のような候補を擁立したことに対してもな県連幹部は責任をとっていないということだ。
「賞罰明らかなるは、徳の至れるなり」(「管子」)。信賞必罰こそ組織統制の要である。結果に対して意思決定者が責任をとらずに居座るという反省力の低下が大きな問題ではないだろうか。それに加えて、実際のボスといわれている人たちと正式に役職についている人が必ずしも同じではない。国政レベルであれば、官邸・党首脳は常に報道にさらされるが、県連レベルであればプロセスの透明性が低く、陰に隠れた実力者は安全地帯にいる。
埼玉県においても、今年の県知事選挙はまったく同じ構造であった。埼玉県のヴィジョンを打ち出せず、多選批判・条例違反に論点を終始し敗戦した。その後の総括では、結局人事面・体制面での反省は行われていない。現在の政治状況を考えると、野党はバラバラで対案を打ち出せていない。自民党が長いスパンで国内外の課題にとりくんでもらわなければならない状況である。いよいよ2日より12月定例県議会が始まった。ご承知の通り埼玉県議会の多数は自民党である。自民党が真の反省力を発揮して、埼玉の将来のためによい仕事をしてもらうことを期待したい。
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