トップページ ≫ コラム ≫ 男の珈琲タイム ≫ 日本の名女将「芸妓から女将に~その二」
コラム …男の珈琲タイム
【折々の女将たち】
名女将と呼ばれなくとも
四季折々の花のように
様々な色彩を放ちながら
生きとし生きる女将模様を綴る
【芸妓から女将に~その二】
芸妓は何よりも頭脳が冴えていた。申し訳ないが決して美形ではない。しかし、聡明さが歩いているような判断力と人心を捉える術には、誰もが舌をまいた。あるとき、寿司職人との恋に落ちた。二つ年下の彼だが、よく気があってよく二人で稼いだ。ためた資金を元に銀行で多額の金を借り、しゃれた寿司割烹を造った。東京ではないが、都心に近い郊外の場とあって、客は絶えることはなかった。町の有力者も商談の場として大いに利用した。都立の商業高校を出ていた亭主は、数字にも強く、政治感覚にも優れていた。女将も気丈。十五年は順調だった。しかし、これはお決まりのコースとはいいたくないが、亭主が浮気した。浮気が本気となった。実態は片肺飛行の経営が続くはずがなかった。精神の傷が聡明な女将の勘まで狂わせた。利益率は下がり続け、今、息子が新しい経営感覚で、店の再生にのりだした。さすがの芸妓も女将という芸の術までには至らなかった。
折々の女将たちを欠きながら、ふと、「男(お)時(とき)」、「女(め)時(とき)」という言葉を思い出した。「男時」は人間の隆盛の時、「女時」は人間の衰退の時だという。能から来ているというが、むしろ現代は女将と言う稀なる力を発揮する、女性達をみるにつけ、「女時」こそ、人生上向きの時ではないか。そして誰しも、この潮をよく見計って人生をうまくコントロールしながら、プラス思考を貫き通す。自己達成の成就の秘訣はそんなところにあるに違いない。
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