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コラム …男の珈琲タイム
小学校を卒業して、62年経った。10年に一度、5年に一度、4年に一度と私達は同級会をやってきた。騒ぎ、喜び、酒を酌み交わしてきたが、5年前頃からは、ちがってきた。
病気のこと。健康のこと。介護のこと。そして死。同級生のうち10人が鬼籍に入っていた。懐かしさより、なぐさめ合いにかなりの時間が流れた。
韓国から日本人に帰化した、杉山(仮名)はドン底の貧乏生活をふりかえって、よく今日まで生きてこられたと、私の手を握って泣いた。「朝鮮人朝鮮人といじめられた時、おまえだけは前に立ちはだかって俺を助けてくれた。俺も病んだ。死んでもおまえのことだけは忘れない」と荒い意気でいった。
「同級会を一年毎にやろう。いつ死ぬかわからないからな」と3年前に言っていた木原(仮名)も逝ってしまった。
日本が一番貧しかった小学時代を過ごした我々だけに、友情の絆は強かった。弁当を忘れた私に担任の先生が「いらっしゃい、先生のお弁当をわけてやるからね」とアルミの弁当箱のたった一本のサツマイモを半分に分けてくれたっけ。もちろん、先生もあの世だ。
誰が唱うともなく「学びのやどになれし友よ♫ことなくおえていまはかえる♫」哀しい気持ちにしたった。
「いまはかえる♫」一体我々はどこへ帰っていくのか。どこへでもいい!私はひたすら前へ!
同級会を後にした私に冬枯れの入間川は3ヶ月後の春を予感していた。
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