社会
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昨年11月8日の米国大統領選挙でトランプ候補が勝利し、直後は急落した日本の株価だが、新大統領の大幅減税や大型の財政出動という政策に注目が集まって米国株価が反騰開始すると、それに合わせて日本株もスルスルと上昇した。ここにきて日米とも政治が先行き不透明ということもあり、変化の兆しが出てきた。このような中で個々の銘柄の値動きを見ると、大きく値上がりしたものは当然多い。ただ、業績や企業内容に釣り合わないくらいに上がった銘柄がかなり多いように思える。
こういう銘柄に共通しているのは、信用取引での買い残高よりも売り残高が多いことだ。信用取引とは、一定の保証金を積むことにより投資家が証券会社から資金や株式を借りて売買すること。信用買いはその銘柄が値上がりすることで、逆に信用売り(カラ売りともいう)は値下がりすることで値ざやを稼ぐものだ。昨年のように大きな下げが何回もあると、信用売りしている人は儲けのチャンスに恵まれる。
カラ売り一辺倒という投資家は少ないはずだが、買いだけでは下げ相場に抗しきれない。リスクヘッジのために一定のカラ売りをしておくというのはうなずける。昨年11月からのトランプ相場にも懐疑的でカラ売りを仕掛けた投資家は多かったといえよう。その結果、売り残高が買い残高を超えた株不足状態となり、売り方が買い方に株の借り賃(逆日歩という)を支払わなければならないというケースが多くなっている。この逆日歩のついた銘柄が急増し、近年例を見ない数になった。
カラ売りを呼び込みやすい銘柄は、前述のように株価が企業実態に見合わない割高株だ。信用取引は通常6か月以内に反対売買による返済を強いられるから、カラ売り残高が積み上がると、いずれその分の返済買いが入ることになる。かくして株価は下がりにくくなり、逆に売りと買いの取り組み妙味をはやされ、値上がりしやすくなる。カラ売りをするのは比較的株に通じた個人投資家が中心だが、目下のところ、その相場観が裏目になっているようだ。
株式投資は買い方と売り方の戦いともいえるが、株価にはこのようなパラドックスもあるのだ。この辺を承知しておかないと、思わぬ大火傷を負いかねない。
山田 洋
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