幸せの小さな袋

不幸せの大きな袋

小さな袋は小さなことで一杯になる

たった一つのことで一杯になる

「見て！虹がでている。二重橋だよ」

「こんにちは」声がしたのでみたら敷石の間に百合が咲いていた

ある方から久しぶりに電話をもらった　嬉しい

ある方から一枚の葉書を貰った　懐かしい

ある方から細やかなことへのお礼を言われた　そんな

ある方から季節の贈りものを貰った　ありがとう

ある方から良いお話を聞いた　生きてて良かった

良い音楽を聴いた　いいなあ

人に伝えたい絵画を見た　いいなあ

嬉しいことは自然からも来るが良いことの多くは人から来る

暗い夜でも一本の蝋燭に集う笑顔

雪の日でも親しい人達の部屋は暖かい

悪いことの多くも人から来る

幸福の青い鳥はすぐ飛び立つが

黒い鳥は何時までも止まっている

悪いことはいつかその穴から飛び立ち、こぼれていくように

嫌なことや辛いことを入れる袋は大きくして穴を開けてある

嬉しいことは何時までも覚えている

私は幸せの小さな袋を持っています

山上　村人