トップページ ≫ 社会 ≫ 特別企画 ~水のスペシャリスト下村政裕からのメッセージ~⑥
社会
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水資源の状況(Condition of Water Resource)
~水も地球から得られる貴重な資源、その資源の現状は?~
水資源の偏在性
水の惑星といわれる地球上において、陸上に生活する動植物や人類が生きるために必要とする水は非常に希少だということは、前回にお話をさせていただきました。しかも、この限られた地球からの恵みである水資源は、人の住むところに十分に存在するわけではなく、地理的特性等に依存して、地球上に偏在をしています。このことは、山紫水明の国といわれる日本においても例外ではありません。また、都市化等人口集中が進んだ現代になって初めて顕在化してきたことではなく、水があるところだから人が生活を始めたといわれている地においても、歴史的に水に苦労していたところがあります。いわゆる溜め池。近畿、山陽、四国の瀬戸内海周辺地域は、溜め池が多いことで知られています。この地は、中国山地と四国山地の間に位置し、雨が少なく、その少ない雨もすぐに海に流れ出てしまうという日本の地理的特性により、人の営みに必要な水を十分に得られなかったところから生まれた文化といえます。つまり、溜め池が多くある地域は、水資源の偏在性により、人の営みに必要な水が当初から十分になかったところと言えます。更に、高度経済成長期に代表される都市化やそれに伴う都市への人口集中も、皆さんが良くご存知の通り、日本の元からあった水資源に大きなインパクトを与えました。このインパクトの要因は、3つくらいに整理できますが、第1に、その土地にある理論上人間が最大限利用可能な水の量(水資源賦存量と言います)に対して、その水量を理論上利用できる人数を超えて人々がその都市に集中し、加えて生活のみならず都市活動にも、多量の水が必要となったこと。第2に、都市化(人口集中)に伴い都市・生活排水が増加し、水道水源の汚染が進行したこと。最後、第3としては、宅地開発、都市開発などによって、水源林や地下水涵養地(降った雨等が地下に浸透する地域)あるいは水源そのものが減少したことなどが挙げられます。60年代以前に生まれている方ならば、東京の多摩川が汚染されて真っ黒な水となり加えて洗剤による泡が大量に発生し死の川と呼ばれていたこと、そうした汚染された河川や湖沼を水源とする水道から供給される水道水が臭いことや、水道事業が汚染された水道水源を捨てざるを得ない状況が社会問題となったことなどを、記憶に留めておられる方もいらっしゃると思います。今では、信じられないことですが、私が若き水道人だった70年代から80年代にかけての水道界では下水が普及すればするほど水道水源は汚染されると懸念されていた時代でもありました。
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