なでしこ便
女性ならでは眼コミ、口コミ、スパイシー語録
「お母さんが生きていたら当時を叙情的に話してくれるよ。喫茶店の片隅でという唄だよ」と叔父から言われた。
母は梅雨時、いつも「梅雨はきらいだけど6月10日は大好きな人と銀座で初めて待ち合わせたから、6月は大好き」と言っていた。
大好きな人とはもちろん私の父のことであろう。
早速ネットで「喫茶店の片隅で」を検索。
「アカシヤ並木の黄昏は・・・・二人黙って向き合って聞いたショパンのノクターン」。
昭和の時代は、デートも「間」を大切にしたのだろう。
約束だって電話か手紙。携帯電話もない時代だ。
大幅な遅刻だってひたすら待つしかなかった。
そのかわり、いまのように向き合ってもなぜか手元の携帯に気をとられてしまうような野暮な二人はいなかったのだ。
便利な時代だけど「情緒」や「抒情」がいつのまにかうしなわれていく。だからこそ活字に目を通し、四季のうつろいに敏感な感性を養わなければならない。
「小さな赤い椅子二つ」。
天に昇ったむこうの世界で、二人が向き合い目を合わせて、笑いあう。
そんなことを想い、梅雨どきの空を仰いだ。
大曾根惠
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