トップページ ≫ 社会 ≫ 水道法の改正と水道事業の民営化の問題点② ~水上清悟~
社会
特に埼玉県、さいたま市の政治、経済などはじめ社会全般の出来事を迅速かつ分かりやすく提供。
そもそも、なぜ、水道法の改正が必要だったのか、その背景については、大きく二つある。一つは、かなり以前から顕在化していたといえる課題であり、もう一つは、2000年代に入ってからの比較的新たな課題である。
前者に関しては、水道でしか実現できない安全で安心して飲める、使える命の水を24時間365日安定的に将来に渡っても持続的に供給し、かつ水供給サービスの代価として水使用者の納得のいく料金で提供し続けていかなければならないということに対する課題である。このことは水道の原点である、コレラ等の水系伝染病への感染予防、あるいは水汲み運搬という時間の制約や重労働からの解放、更には防火といった水道が果たさなければならない役割を適正に実施していくことにより、水道使用者に衛生的で快適な暮らしを国が保証しようということであり、だからこそ国は、国民皆水道を目指して、事業として採算の取れないような地方の中小規模水道に対しては、各県とも連携しながら積極的に補助事業の導入や一般会計からの繰入れを行うことにより、水道施設の適正な開発・整備や事業運営そのものを支えてきた経過がある。しかしながら、本来水道は独立採算で経営されなければならず、2000年代に入って、財政当局から、補助や財政支援を絶つことを目的に、中小規模水道の自立を強力に求められるようになった。その結果として、現在、地方の中小規模水道では、今後の水道が本来持つべきサービスの質を確保しての水道事業の運営に大きな不安を抱えている。
更に、今や完全に全国的に顕在化した人口減少についても、都市部では比較的新しい課題といえても、地方では、もう既に長く続く過疎化の課題であり、そうした地域の水道は人口減少(過疎化)に伴い、年々、需要水量や料金収入が減っていく中で、既存施設を以前と同様に運転・維持管理しながら、サービスの質を維持していかなければならないというチャレンジをもう何年もしてきている。そして残念ながら水道施設の適正な維持管理や修繕すらままならず、給水サービスの低下につながる事態も招きつつある忌々しき事態となっている水道もある。地方の耐力のない中小規模水道のほとんどは、中・長期的視点に立てば存続の危機すらはらんだ崖っぷちに立っているといっても過言ではない。 (続く)
バックナンバー
新着ニュース
- エルメスの跡地はグッチ(2024年11月20日)
- 第31回さいたま太鼓エキスパート2024(2024年11月03日)
- 秋刀魚苦いかしょっぱいか(2024年11月08日)
- 突然の閉店に驚きの声 スイートバジル(2024年11月19日)
- すぐに遂落した玉木さんの質(2024年11月14日)
特別企画PR