トップページ ≫ 社会 ≫ 水道法の改正と水道事業の民営化の問題点⑧ ~水上清悟~
社会
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提言の二つ目、広域連携に関して、そもそも、日本の水道事業において、現在すでに深刻な経営の窮地に立っているのは、前述の通り、人口数十万人以下の市町村が経営する国費、県費補助や一般会計からの繰り入れ等の公的な支援がないと、水道施設の整備、すなわち維持管理や修繕等はもとよりダウンサイジングを伴う施設更新あるいは施設再編成事業等も含めて、健全な水道事業経営ができない、独立採算が構築できない中小規模システムの水道である。こうしたところには、民間の触手も伸びるわけがなく、余談ではあるが、民間企業としては、採算性が良く安定した経営が見込める中核都市以上が経営する水道事業を取りたいということだろう。こうした地域の水道は、県規模で一つの水道事業にでもならない限り、広域化によるスケールメリットも期待できないところから、自立的な経営基盤の強化には限界がある。したがって、都市部の水道においては、都市部の一人勝ちで地方が置いていかれるということがないよう、地域のリーダーとして広域的公共性の観点から、超長期的視点を持って、地域が抱える課題の解決に向けた広域化、地域水道整備を検討するべきである。そして、国民があるいは県民が等しく同様の質の高いサービスをほぼ同様の料金で享受できるよう、先ずは県一水道をあるいは歴史的同一文化圏や県域を越えて水資源の同一系統を核としたスケールメリットの出る広域水道へと再編成していくべきである。ここで重要なのは、集中と分散のバランスをとること。スケールメリットの出る経営統合が最重要であることは言うまでもないが、水道施設に関しては、各小規模水道が置かれている環境を最大限に考慮し、慎重かつ適正に、常時非常時の在り方も十分に検討した上で、その地域にとって有効かつ効率的な施設の集中と分散施策を盛り込んだ最適再整備計画を立てていくことが重要である。都市部にとっても地方にとっても、双方がWin-Winとなる広域連携の道は必ずある。埼玉県も例外ではなく、先ずは、県一水道を目指すべきであり、それぞれの市町村等に置かれている現在の水道事業の現状、問題分析を十分に行って、施設も含めた再編成を確実に実施していくこと。これらにより、前述の民間活用の実施との相乗効果も相まって、確実にそれぞれの地域住民が満足する水道、すなわち、水道による衛生的で快適な暮らしを将来に渡って全ての水道使用者に約束することができる水道システムの再構築ができると確信をする。 完
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