トップページ ≫ 外交評論家 加瀬英明 論集 ≫ 性悪説のキリスト教、性善説の神道 その2
外交評論家 加瀬英明 論集
ユダヤ・キリスト・イスラム教は、人間の性悪説をとっている。
人が原罪を負って、生まれてくるのだ。エヴァがサタンに騙されて、神が食べてはならないと固く禁じた禁断の果実を盗って食べた。アダムもエヴァに勧められるままに口にしたために、ともに原罪を背負わせられることになった。
どうして、生れ落ちた赤児が、罪に穢れているのだろうか?
性悪説をとったのは、やはり異民族と絶え間ない闘争を、生き抜かなければならなかったからだろう。
神道は、人の性善説をとっている。これは、楽観説でもある。アマテラス大御神の神言に、「人は乃ち天下の神物なり。心神を傷ましむ莫れ」という戒めの言葉がある。神道は、明るいのだ。
仏教では、人は罪を負って生れ落ちたのではないが、生れつき業を背負っていると考える。業はヒンズー教から引き継いだ思想で、ヒンズー教では「カルマン」と呼ばれるが、暗い。
日本にはキリスト教徒は、人口の1%あまりしかいない。日本人には、絶対神を崇める一神教がなじまなかったし、人の性悪説も恐ろしすぎた。
それぞれの民族は、体に合わせた衣服のように、民族性のあった宗教や、信仰を奉じるものだ。
ユダヤ・キリスト・イスラム教の神は、全能で全知だ。誤ることが、絶対にない。
今日でも、世界のカトリック(キリスト旧教)教会のうえにたつローマ法王は、無謬 — 判断に誤りがまったくないと、されている。
スターリンも、ムソリーニも、ヒトラーも、毛沢東も、〝無謬″だった。
ムソリーニ治下のファシスト・イタリアで、もっとも有名なスローガンは「ムソリーニ・センプレ・ラジョーネ」(ムソリーニは、つねに正しい)というものだった。
隣国の韓国では、国民の3分の1以上がキリスト教徒である。朝鮮半島では、歴史を通じて、絶対権力者が存在した。歴代の国王がそうだったし、近世をとっても、金日成・金正日・朴正煕・全斗煥・金大中をはじめとする、独裁者を崇めてきた。
韓国は、1万6000人以上のキリスト教の宣教師を、国外へ送り出している。韓国の人口は4400万人にすぎないが、この数は、アメリカが海外へ送っているキリスト教宣教師の数についで、多いものだ。
2007年には、23人の韓国人男女のプロテスタント(キリスト新教)のミッショナリー(宣教師)が、アフガニスタンにおいて、タリバンによって拉致されて、国際的なニュースになった。キリスト教宣教師は、韓国製の自動車や、家電製品と並ぶ、輸出品目となっている。
ジョン・レノンはなぜ神道に惹かれたか 8章 神道の宇宙観、キリスト教の宇宙観
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