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4月に肺炎で亡くなった漫画家のモンキー・パンチさん(本名・加藤一彦 享年81歳)。アニメ化されて大ヒットした『ルパン三世』の作者だ。双葉社の「週刊漫画アクション」創刊時(1967年)から連載されたアメコミ風のこの作品は、今もアニメで高い人気を保っている。
1980年代末、講談社の少年漫画週刊誌編集部員だった私がモンキーさんと会った時の話は、5年前に当欄で紹介した。『ルパン三世』はフランスのモーリス・ルブランの『怪盗ルパン』がモデルだが、今度は日本の江戸川乱歩の作品『怪人二十面相』などを漫画にしたいという話がご当人の口から出たのだ。
この企画は結局実現しなかったが、それから15年ほど過ぎた2003年、『ルパン三世』以外のモンキー・パンチ作品をセレクトして刊行することになった。出版と同時にアニメ化して衛星放送WOWOWで放映さることになり、私も出版の担当者としてテレビ画面で喋らされた。
それまでに単行本化されていない作品がいくつもあり、『ルパン三世』とは一味違った埋もれた秀作を目にした。この仕事が終わり、会社の定年が間近になっていた私に、モンキーさんからある話が持ち掛けられた。
彼が教授として漫画作りを指導していた西宮市の大手前大学人文科学部メディア・芸術学科の講師に就任しないかというのだ。とてもありがたい申し出だったが、すでに別の就職先が内定していたので、お断りすることにした。
ただし本心としては、引き受けたいのはやまやまだが、人に教える自信がなかったのだ。漫画編集に関わったのは40代からで、漫画制作現場に立ち会った経験が乏しく、実践的知識が不足していることは自覚していた。漫画家を目指す学生からマニアックな質問をされて四苦八苦する自分の姿も想像できた。
せっかくのご好意に応えられなかったことへの忸怩たる思いが、モンキーさんの訃報に接して蘇ってきた次第だ。
山田 洋
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