トップページ ≫ 社会 ≫ 特別企画 ~水のスペシャリスト下村政裕からのメッセージ~㉒
社会
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水道のあるべき姿を考える(Think of Future Image that Water Supply should be)
~水道事業の広域化~
これまでに、水道事業が直面している存続の危機ともいわれる課題を概観し、その課題の解決を考える上で重要な、水道事業の特性を整理してきました。そして、水道事業が今後さらに展開していくためには、事業経営基盤の強化がとにかく必要であり、その方策が、広域連携と民間活用であるとされていることも報告してきました。本当にそうなのか?
最初に広域連携を考えてみます。
水道経営の費用(コスト)は、施設経営、装置産業であるがゆえに、多くは施設整備に伴う投資に関わるもの、すなわち固定費が多くを占めています。そして配る水の量の増減に伴い、増減する変動費は約5%程度とごく僅かです。そうしたことから、今後予測されている人口減少に伴う水道料金収入の減少を考えた場合、施設的にも、人材的にも、平成の市町村の大合併と同様に、水道施設を統合する、あるいは施設の維持管理や検針等の業務等を統合して行う経営統合など、効率的な施設、人材活用を図ることができるスケールメリットを出していくことは、非常に有効な施策だと考えます。
一方で、水道は地域の環境、地理、気象、そこに住む人々が育んだ文化や生活そのものに立脚して成り立つものであるところから、スケールメリットを引き出すことのみにとらわれるのではなく、水道の置かれた地域の環境での最適化を最大の目標とし、施設の統廃合にあたっては、集中と分散をバランスよく組み合わせて実施する必要があります。合わせて、大規模地震や洪水あるいは渇水といった非常時の対応も十分に加味して、施設の統廃合は行われなければなりません。ここでも重要なことは、地域に住む人々が納得する広域水道を目指すことが基本です。さらに言えば、同一水系レベルや県単位で考えた場合、各市町村の水道の現状にはかなりの格差があり、都市部のみが独り勝ちになるようなことは慎み、だれ一人として「おいてけぼりにしない」という精神が重要だと考えます。
以上の留意点を十分に吟味した結果としての広域連携は、今後の日本の水道事業の安定的な持続のために非常に有効な手段であると考えています。
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