社会
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渥美清さん主演の大人気映画『男はつらいよ』は「ひとりの俳優が演じた最も長い映画シリーズ」としてギネスブックに認定されている。長くご活躍された渥美清さんは、私にとっても特別に心に染みる存在だ。
ところで、入間市の茶畑にもギネスブックに認定されているものがある。それは「狭山茶場碑入道」と示された「日本一の道標」だ。何が日本一なのかというと、4.1メートルという高さである。私は以前、この道をほぼ毎日のように通っていた。しかし、狭山茶場碑入道の道標が昭和61年にギネス認定されていたことは認識しておらず、全くもって灯台もと暗しであった。
実家に隣接した土地にも茶畑があった。大柄な愛猫は親分猫で、この茶畑も縄張りにしていた。茶畑のすぐ脇には子分の猫たちも足しげく通う、ささやかな獣道もあり、帰宅後の愛猫は、いつも二階の窓から、茶畑と獣道を穏やかな眼差しで見守っていた。愛情に満ちあふれた寅さんのような、この猫の柄は嬉しいことに茶トラだった。
晩秋には日本一の道標を再確認しに行くことが出来た。季節も、春の颯爽とした凛々しき新茶から、秋のたおやかで馴染みの良い新茶の時期へと移り変わっていた。丁寧に寝かせた上で満を持して出回る、秋茶の落ち着いた味も人気が高い。
茶の産地としては清涼な埼玉の狭山茶が、その深い飲み応えと甘味を保つにはやはり秘訣がある。製造行程の仕上げに「火入れ」がされるのだが、この一手間こそが重要なポイントなのだ。人々は皆、この「狭山火入れ」を経たからこそ生まれる「味の狭山茶」の旨みに魅了され続けている。
既に冬茶も出始めた。もう熟成茶の季節なのだ。寒くなれば、人は自然と暖かい場所を求め集う。日々、茶のぬくもりを確かめながら厳しい冬を乗り越えられたら、こんなに心強いことはない。
今月末には『男はつらいよ お帰り 寅さん』が 記念すべき第50作目としてスクリーンに帰ってくる。
丈夫な狭山茶の葉は、寅さんのように頼もしく、どこまでも温かい。更にその味わいの奥深さも寅さんさながらだ。久しぶりにまじまじと茶葉をのぞきこんでいたら、どこからか聞き覚えのある声がして「よう!お帰り!」と元気に話しかけられた気がした。声の主は正に寅さん。これは夢?私もたまらず「こちらこそ、お帰り、寅さん!」とこたえた時、寅さんを道標にしてきた多くの人々の心にも触れた想いがして、胸がいっぱいになった。
葉桜 こい
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