社会
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新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、人々は外出自粛を求められ、街は店が軒並み休業し、ゴーストタウン化した。大型連休中に訪ねた県内一の盛り場である大宮もそうだった。ついでに駅東口の銀座通りを北へ、大栄橋の陸橋下を通り抜け、ソープランドが密集する風俗店街まで足を延ばした。
以前、大宮に居住し、この近くの駐輪場を利用していたから、土地勘はまだ残っている。営業自粛要請を無視して開店していたパチンコ店が問題になっていた時だけに、はたして風俗店はどうかと気になったのだが、20ほどの全店が休業していた。カラフルな外観の店舗が派手派手さを競っていたのを見慣れていたので、明かりが消えた無人の通りは不気味でさえあった。どの店もシャッターに張り紙があり、5月6日まで休業となっていた。
この地区の風俗営業の歴史はけっこう古い。江戸時代から大宮のような宿場町にはそういう場所がつきものだったが、1919(大正8)年に埼玉県から公娼の新地に指定され、営業を認められた。1945(昭和20)年の敗戦後、占領軍は兵士の性病増加を苦慮し、売春に対して厳しい姿勢を示したが、大宮は特例地区(赤線地帯)として営業を続けた。
1958(昭和33)年に売春防止法が施行され、以後、大宮新地は特殊浴場の営業指定区域とされた。ここからトルコ風呂と呼ばれた店舗型風俗店の時代が始まった。その半世紀以上の歴史の中でも全店休業は初めての出来事のはずだ。
連休明け後はどうなるのか気になって、直後の土曜夕方に再訪すると、半数ほどの店は営業再開していた。昔からの老舗よりも新参の店のほうが再開している割合が多いようだ。古い店だと過去に違法サービスなどでお灸を据えられたこともあるはずで、営業再開にも慎重になるのか。2年半前にここで火災を起こし、男女5人が死亡した店も、建築基準法改正前の1965年建築の古い建物だった。
2度の訪問で、この地区の変化も感じられた。周囲にマンション、商業ビル、専門学校が続々新築されているのだ。コロナ禍はそれに拍車をかけることになるのか。
山田洋
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