トップページ ≫ 社会 ≫ コロナ・デ・フリース君のタイプライター
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3月に新型コロナウイルス感染症に罹患し入院をしていた、実力派俳優のトム・ハンクスと、その妻である女優のリタ・ウィルソン。この夫妻が見舞われた、耳慣れぬ感染症の見通しにはまだ未知な点も多く、手に汗を握りながら続報を待ったものである。退院後も慎重な自主隔離を続けたトム・ハンクス夫妻が無事に回復したニュースは、世界中の人々を勇気づけている。
治療中のトム・ハンクス夫妻宛てには、思いがけない手紙が舞い込んでいた。送り主はコロナ・デ・フリース君。夫妻の入院先でもあるオーストラリア在住の、まだあどけない8歳の少年だった 。「大丈夫ですか?」と、夫妻を見舞った手紙の文中には、自分の名前は大好きであるのに、周囲からは意図的に「コロナウイルス」と愚弄され、深く傷ついているという、苦しき胸のうちも綴られていた。手紙を受け取ったトム・ハンクスの反応は、自分たちを見舞ってくれたこの少年の気持ちに感動するだけにはとどまらなかった。「コロナ」の本来の意味である「指輪、太陽、王冠」などを改めて示した上で「君には私という友達がいる」と、コロナ・デ・フリース君をなぐさめ励ました。更に、タイプライター収集家でもあるトム・ハンクスは、療養中に使用していたスミス・コロナ社製のタイプライターが少年に適していることを見抜き、「使い方を覚えてから、そのタイプライターを用いて、また返事を下さい」と手紙を添えて贈呈した。
私のタイピングの基礎は、誰も使わなくなり廃品と化していた古いタイプライターにある。かつて感染症でもないのに自主隔離をし孤立していた頃、英語の歌詞カードを見ながら黙々と文字を打ち込んでいるうちに、タイピングの初歩的なコツがつかめるようになった。タイプライターが常に乾いた音を立てていたのは、素朴で優れた伴奏者であることの象徴とも言える。また、タイピングによる新しい技術や表現方法を獲得出来たことは、自分にとってのかけがえのない財産となっている。今、この文章を書けているのも、タイプライターとの出逢いあってこそである。
トム・ハンクスと言えば、映画『フォレスト・ガンプ / 一期一会』も有名だ。コロナ・デ・フリース君は、トム・ハンクスが演じたフォレスト少年に励まされる可能性も高いだろう。映画に登場する、ちょっと風変わりなフォレスト少年は、周囲から嘲笑や疎外をされることなど日常茶飯事であったが、ひょんな偶然がきっかけとなって俊足の才能が開花し、彼の人生は好転していった。
「コロナ」というワードの偶然の一致がきっかけとなり、お互いを支え合うことにつながった、トム・ハンクスとコロナ・デ・フリース君。タイプライターは彼らの友情の証だ。この少年ならきっと、タイピングに宿る心を大切にしながら、書くことによって人生を好転させ、コロナ本来の意味のような、輝きあふれる未来を切り拓いてゆくことが出来るはずだ。
葉桜こい
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