トップページ ≫ 社会 ≫ 分断か連帯か、岐路に立つアメリカ
社会
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今まで幾度となく、繰り返されてきた黒人に対する、過度の暴力。5月25日ミネソタ州で起こった白人警官ら4人により白昼堂々と行われたひとりの黒人を死に至らしめた蛮行は、アメリカ国内に留まらず世界中に人種差別的行為への抗議として燎原の火のように広がった。
その過程でトランプ大統領のデモは極左集団が先導しているとの根拠のはっきりしない言動や、失業率低下に関する発表の際にこの発表は亡くなった黒人にとっても良い日となったなどの発言は看過できないものとして多くの人に受け止められた様子だ。
図らずも今回のコロナ禍は世界各地において社会の抱える様々なひずみを浮かび上がらせる結果となった。ウィルスはその自己増殖を唯一の目的とした感染の過程において人を選ぶことはない。しかし感染の結果として必要となる医療行為は国家間、人種間、また居住空間などにより明確に線引きされる。結果、命が重みづけされ取り扱われることになる。
アメリカでのこうした事件を受けた社会の反応は今回のコロナ禍が与えた人心の動揺が与えた影響も大きかろう。またひとりひとりの自制心が下支えとなる疫病対策は自助自立、優勝劣敗をその価値観として据えてきたアメリカンドリーム的競争社会との相性が悪いのはだれの目にも明らかだ。
大統領選挙本番まであと5ヶ月。白人労働者階級をコアな支持基盤とし、過激な言動を煽るように繰り返すことで敵を峻別し、味方の結束を固める現大統領の手練手管のやり方が果たして今回どう出るのか。
アメリカは建国以来の民主国家としての矜持が未だ命脈を保っている世界でも稀有な理想主義国家でもある。振り子の針のようにその理想主義的側面が勃興してくる可能性は決して少なくはない。
今回、現職優位の一般論はあまり当てにならない気がしている。分断なのか連帯なのか、その選択を注視して見守りたい。
小松 隆
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