社会
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朝な夕なにキンモクセイのかぐわしい香りが立ち込め、人々の心をときめかせてくれている。秋の日差しを受け、まぶしく輝くオレンジ色の小花たちは、ある昆虫の訪れを待っている。その昆虫は、オレンジと黒のツートンカラーの、ホソヒラタアブだ。ホソヒラタアブは人を刺すアブとは違い、花の密や花粉を食べるハナアブであり、キンモクセイの受粉を助け、遠くに運んでくれるキューピッドなのである。
キンモクセイのか弱い小花が厳しい自然界を生き抜くことは難しい。しかし、この花には知恵がある。互いの小さな身を寄せあい、花数を多く咲かせることにより生命力を維持しているのだ。そして、自分たちを選ぶ限られた貴重な虫、ホソヒラタアブを、ただひたすらに待ちわびる、なかなか一途な花だ。
秋の雨が降れば、香りもろともあっけなく散ってしまうキンモクセイ。それでも命の儚さを補うように気高く精一杯咲く。キンモクセイの存在感あふれる香りは、この花が秋を生ききった証だ。近頃、香りの甘みに、より感じ入ることが多い。今更ながら、この花が静かにつく、ため息に寄り添えるようになったのだろうか。
キンモクセイの花が全て散る頃には、キューピッド役のホソヒラタアブもそっと姿を消し、秋は更けてゆく。
葉桜こい
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