社会
特に埼玉県、さいたま市の政治、経済などはじめ社会全般の出来事を迅速かつ分かりやすく提供。
国の特別機関「日本学術会議」の新会員候補名簿から、6人の任命を菅義偉首相が拒否したことが国会にまで持ち込まれ、大問題になっている。6人が安倍政権時代に特定秘密保護法、安全保障関連法などの成立に批判的だったからではないかとの疑問には答えず、学術会議の組織改革に論点をずらしたり、同会議の会員構成の偏りを指摘したりと、その場しのぎの対応を続けている。首相の発言には事実誤認も多く、論旨の綻びを広げている。
官房長官だった頃からの素っ気ない答弁は相変わらずで、それがテレビの国会中継で延々と放映される。首相就任時の意外なほどの高支持率も下落している。論戦に耐えられないなら、早いうちに自分の過ちを認めればよかったのにと思ってしまう。
日本人は昔から学者や学問に敬意を払ってきた。「末は博士か大臣か」という言葉もあったほどだ。戦前の国家権力による学問統制への反省もある。この問題への首相たちのデリカシーのなさには呆れるばかりだ。官邸に出入りしている御用学者しか知らないのではと言いたくなる。
政令指定都市の大阪市を廃止し、4つの特別区に再編する「大阪都構想」についての2度目の住民投票も、トップの判断の失敗例だ。大阪府・市で首長と議会の第1会派を握る「大阪維新の会」にとっての看板政策とはいえ、5年前の住民投票で否決され、今回も賛否拮抗が予想されたのに、新型コロナウイルスの渦中で投票が実施された。府と市の二重行政の解決を訴えたが、説明不足で「メリットが分からない」という声が多かった。
結果を受けて、維新の会の代表を兼ねる松井一郎市長は任期まで務めた後の政界引退を表明、吉村洋文知事も「自身が都構想に再挑戦することはない」と明言した。
大阪でも国政でも、ていねいな説明もなく、意見の異なる人を無視して強引に事を進める手法が失敗を招いたと言えよう。
山田 洋
バックナンバー
新着ニュース
- エルメスの跡地はグッチ(2024年11月20日)
- 第31回さいたま太鼓エキスパート2024(2024年11月03日)
- 突然の閉店に驚きの声 スイートバジル(2024年11月19日)
- すぐに遂落した玉木さんの質(2024年11月14日)
特別企画PR