社会
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当欄でも今まで何回か取り上げられたテーマにマンション建替えがある。築後40年を超える老朽化マンションは2年前に80万戸を突破し、今後急速に増加する見込みだ。1981年6月に耐震基準が改定されたが、旧耐震基準のもとで建てられたマンションは106万戸で、その5~6割が耐震性不足だという。
ちなみに旧耐震基準では震度5強程度の地震では改修・補償等で居住可能だが、震度6以上については想定されていない。現行の耐震基準では震度6以上でも建物は部分的に壊れても人命を損なう崩壊はないとされている。耐震性不足等で危険性を認定されたマンションは「除却の必要性のあるマンション」とされ、建替えにおいて容積率が緩和され、マンション敷地売却事業が可能となった。
これまでは建替えによって余剰床を生み出し、これをデベロッパーに売却することで事業費の多くを賄うという形で建替えが実現した例が多かった。以前の建物の3倍の床面積にすると区分所有者の負担額はゼロの可能性があり、2倍だと500万~1000万円の負担、同面積では2000万円程度と言われたが、近年の建設費上昇によって変化していると思われる。
今後建替えが課題になるマンションでは、容積の余剰が少なく外部に売却できる余剰床が限られることが予想され、マンション敷地をデベロッパー等に売却し、代金を分配するという方式が増えそうだ。敷地の買受人が建てたマンションに入居するとか他の住宅への住み替えとかは各自が選択する。
建替えに必要な区分所有者の5分の4の賛成が地震への恐怖で得られるなら話は簡単だが、いろいろな人が住むマンションでは個々の事情は千差万別だ。築後年数が多いマンションでは住人も高齢者が多く、資金面では民間金融機関からの借り入れが難しいという問題がある。これに対しては住宅金融支援機構の融資があり、その中の「高齢者向け返済特例制度」では、返済は月々の利息のみで、死亡時に相続人が一括返済または売却による返済をすればよい。
建替え工事の期間中(約2年間)は仮住居に移らなければならず、この煩わしさを嫌う人も多い。難問は多いが、事業協力者のデベロッパーの意見も取り入れ、反対者へのていねいな説明が不可欠のようだ。
山田 洋
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