社会
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3月18日からアラスカで行われた米中会談は異例ともいえる激しいものとなった。バイデン政権初となるハイレベルでの中国との初の交渉、冒頭からアメリカは中国の新疆や香港、台湾への行動、またサイバーテロに関する問題、アメリカ同盟国への経済的威圧に対して今回議論したいと先制攻撃。対して中国はアメリカこそその圧倒的軍事力、経済力にものをいわせ、一部の国に対して中国に敵対行為までしかけさせていると発言。またアメリカこそ黒人に対しての人権がないがしろにされている国家であり、人の事をとやかくあげつらう前に、まず自分の事を何とかしろとまで言い切った。外交儀礼などどこ吹く風、この展開は両大国TOPの意向が強く反映されていることは疑いようがない。特に中国はもはや我々はかつての中国ではない、ひらたくいえばなめるなというアピールについて今回一定程度成功したものと巷間受け取られているようである。
バイデン米大統領は、初めての記者会見で米中の対立は民主主義国家と専制主義国家との競争であると明言した。対中国に関して自身が副大統領だったオバマ政権以前のような妥協はないと宣言した意味は決して小さくない。相手を専制主義国家と名指しした以上、現中国共産党指導体制の変更でもない限りその状況は変わりようがない。また解決の為のあらゆる手段を放棄しないと宣言したに等しい。対決は望まないとの注釈はついたものの。
これは当初から予想された通り、トランプ政権時代より一段高い中国との対決姿勢を意味しているだろう。商売人だった前大統領の政治スタイルの根本は取引、いかにアメリカを高く評価させるのかの一点にあった。今回は正反対に理念がその前面に押し出された感が強い。2011年に中東諸国で起きたアラブの春の際、独裁者の排除、アメリカの民主主義の理念を世界に行き渡らせるという錦の御旗の下に、結果多くの血が流された事は未だ我々に生々しく記憶されている。
現実問題として中国に与する国家は少なくないだろう。アフリカや中央アジア、中南米に至るまで国情や歴史的背景などそれぞれ理由の違いはあっても、反アメリカで結集する国は多い。
集積回路やプラスチック、自動車、またその部品などを主要製品の輸出先また電話機、衣類、携帯電話など輸入を通じて、我が国の最大の貿易相手国である中国、政冷経熱ともいわれ政治的対立が起きても抜き差しならない経済関係が修復し続けてきたこの20年。潮目の変化が予感される中、我が国にとっても難しいかじ取りが続きそうだ。
小松 隆
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