社会
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かつて社会科学や人文科学の学者の文章には英・独・仏など外国語の用語が多用される傾向があった(たとえば3年前に自死した西部邁氏など)。ぴったりの訳語がなかったからかもしれないが、カタカナが苦手な人にはかえって理解しづらかった。それに比べれば低レベルの表現ながら、東京都の小池百合子知事のカタカナ語の連発には以前から引っ掛かるものがあった。多くの日本人にとって馴染みのない外国語を使って、人を煙に巻こうとしているのではと思ってしまう。
昨年6月に新型コロナウイルスの警報として「東京アラート」が発令された時も、レインボーブリッジと都庁舎が赤くライトアップされただけで、ほとんど効果はなかったようだ。当時はまだご愛嬌ですんだかもしれないが、今はそれどころではなくなった。
そのため、小池知事お得意の外国語キャッチフレーズは出なくなったものの、今度は日本語での不自然な言葉が気になる。少し前から「人流(じんりゅう)」という語を多用するようになった。これは国語辞典には載っていない。「物流」という語があるから、物が人に代わったのだろうと推測はできるが、人が物扱いされるのはやはり違和感がある。
これを伝える新聞報道では、小池知事の発言としては「物流」と記しているが、見出しや記事中では「物の流れ」と言い換えている。辞書にない表記には記者や校閲者の抵抗感があるのだろう。
それでも小池知事は専売特許のようにこの語を使っている。最近では菅義偉首相までが「人流」と言い始めた。この程度の言語感覚では、自らの政治理念を言語化することも難しいのではないのだろうか。
山田洋
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