トップページ ≫ 社会 ≫ 人気沸騰漫画の陰に地味な労作あり
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日曜夜のTBS人気ドラマ『ドラゴン桜』が6月27日に最終回を迎えた。原作は講談社「モーニング」の東京大学受験漫画だ。2003~2007年に連載され、2005年には講談社漫画賞や文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞の受賞に加えてテレビドラマ化されるに至った。「モーニング」では連載終了後すぐに続編となる『エンゼルバンク―ドラゴン桜外伝―』をスタートさせ、2010年まで続けた。さらに2018~2021年に『ドラゴン桜2』を連載し、それが今回のテレビドラマの原作になった。
元暴走族の貧乏弁護士が平均偏差値36の高校の生徒たちを東大に現役合格させるまで、各種テクニックを交えての熱血指導を描く。テレビでの主演は阿部寛。
原作漫画の作者、三田紀房さんが「モーニング」で連載開始した頃、私が編集部員だった「ヤングマガジン」でも三田作品が連載されていた。無名の高校野球部の選手たちが甲子園出場をめざす『甲子園へ行こう!』だ。勝つために禁じ手を使ってまで策を練るなど、作者の苦心がうかがえたものの、読者の反応はイマイチだった。野球漫画では実績のある人だったこともあり、連載は5年に渡る長さで単行本も18巻になったが、増刷はポツリポツリだった。
これは「ヤングマガジン」の漫画の傾向と合わなかったからだろう。暴走族や不良少年など上昇志向とは無縁の登場人物が多く、コツコツ努力して栄冠をめざすなどというストーリーは毛色が違っていたのかもしれない。
それより前、編集長が編集会議で「受験がテーマの漫画はどうかな?」と提案したことがあったが、賛同する意見は出なかった。競馬とキャバクラが大好きな編集長が「受験漫画」と言い出した意外感のほうが大きかったようだ。
だから同じ会社が発行の「モーニング」で三田さんの『ドラゴン桜』が人気を集めた時には驚いた。もし「ヤングマガジン」で連載されていたなら、あれほどの人気にはならなかったかもしれない。でも、『甲子園へ行こう!』での苦労が、『ドラゴン桜』のテーマ選定や人物設定に生かされていたのは確かだろう。
山田洋
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