トップページ ≫ 社会 ≫ コーヒー相場急騰で感じた意識 ひとつの地球
社会
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この7月、ブラジルを襲った寒波は、霜害をもたらしブラジル中央部にある有名なミナスジェライス州のコーヒー生産地を始め、大きな爪痕を残した。ブラジル全体のコーヒー生産量の約7割を占めるとされるこのエリアでの霜害は今後、かなりの期間に渡って大きな被害を及ぼすだろう。
コーヒーの木は霜が降りてしまうと葉が茶色に焼けて、最悪の場合、木まで枯れてしまう事がある。成長した木は生き残れるかもしれないが樹齢の浅い木はそのまま立ち枯れてしまう可能性が大きい。仮に多くの木々が枯れてしまった場合、植え替えや剪定などを経て成長した木がコーヒーチェリーをつけ、収穫が出来るようになるまで、優に数年の歳月を要する。今回の霜害の悪影響がどれくらいの期間、エリアでもたらされるのか、未だ全体を見通せていない状況だ。
また世界第3位のコーヒー生産国コロンビアでも、この春から続いた世情不安から、主要港への道路が封鎖され、各地からの収穫物が滞留する事態が発生した。現在封鎖は解除されているが、混乱の収束までまだ数か月を要する見込みだ。
先進国を中心としたコーヒーの需要は右肩上がりで順調に伸びてきた。また中国でのコーヒー需要もここの所、急激な伸びを示している。とはいえ一人当たりの年間飲用杯数にすれば約5杯、日本の約350杯やアメリカの約400杯と比較するとまだまだ微々たるものだ。だが裏を返せばその潜在成長力はすさまじくまた実際これからの10~20年の間に大幅な伸長を示すことは間違いないだろう。
一方、生産地は地球温暖化など気候変動の影響か、今回の霜害のような予期せぬ事態に再び見舞われる可能性は否定できず、右肩上がりの旺盛な需要を充たすだけの安定共有が確保できるかは不透明だ。また途上国の多い生産地において、安定した収入が確保できない状況が頻発すれば耕作地放棄などにも繋がりかねない。生産量は算術的にしか伸びないといったマルサスの言葉は正鵠を得ているだろう。
生産者から輸出業者、焙煎、製品化に携わるコーヒーメーカーなど企業、またコーヒーショップ、喫茶店、そして消費者に至るまでのサーマルな繋がりを通じて、それぞれがこの円環を支えていく成員メンバーである。全てが凝縮された一杯のコーヒーに纏わる物語をこれからも応援していきたいと願う。
小松 隆
小松隆
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