社会
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平家にあらずんば人にあらずかの如。EVでなければ車にあらずとでも言わんばかりに、欧州、アメリカを中心に自動車のEV化加速はすさまじい。
「21世紀に間に合いました」のキャッチと共に、1997年プリウスでHVという従来にない車を世に問うたトヨタ自動車。環境先進への取組を他社に先んじて実践した。それを具現化した最先端メーカーとして、そのブランド価値を格段に上げ、当時ディカプリオを始めとした世界の有名人がこぞってプリウスを愛用したのはまだ記憶に新しい。
昨年までそのトヨタ自動車がEV、HV、FCV(燃料電池車)と全方位でエコロジーカーを揃え、国情や地域性などを踏まえて展開していくとの堅実な指針に対して、世界からのバッシングは非常に厳しいものだった。環境団体グリーンピースからはEVの全面移行に対する業界の最大障壁とまで揶揄された。2021年12月に一転、EV車種を30種揃え、2030年までに350万台を販売目標(従来EV、FCV合わせて200万台)と大幅に引き上げる目標を発表。この内容は市場で好感され、今年1月に株式時価総額は40兆円を超えた。
この加速する自動車EV化一辺倒の流れには、いささかの違和感を禁じ得ない。独フォルクスワーゲンは2030年までにEV化率50%、高級車の代名詞、メルセデスベンツに至っては〃100%を目指すという。アメリカでも昨年8月、バイデン大統領が2030年にEV化率50%を目指すとした大統領令に署名。アメリカ自動車メーカーの象徴的存在の米ゼネラルモータースも2035年までにエンジン車の販売を止めると発表している。
この巨大産業で急速に進められている流れは、欧米自動車産業とそれを支える国家が一体となったゲームチェンジャー的な側面を併せ持つことは疑いようがない。長年習熟を重ねてきたガソリンエンジン車での各メーカー毎の製品化技術を一旦ご破算とし、市場をフラット化しようとする動きとの見方はうがちすぎだろうか。
今回、トヨタはこれまで掲げてきた市場に対する本質的問いかけを一旦封印し、市場に対してその意向に従うとの恭順の意を示した格好だ。だが脱炭素化への技術アプローチは全方位こそが最適解との企業としてのレゾンデートル(存在理由)は捨てていないものと推察される。
日本国内だけでも裾野まで含めた自動車産業関連で500万人の雇用を創出している。この雇用を維持しながら、また火力発電比重の大きいエネルギーの問題まで含めて、解決策を導き出すのは容易ではない。
しかしながらこの流れに一企業で抗する事はどだい無理である。この問題については政治も対になってこの全方位アプローチが有効である事を国際社会に対して積極的アピール、支援を期待したい。
小松隆
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