社会
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先日、我が住まいのあるさいたま市中央区のコミュニティ協議会の主催で、所属団体が自分たちの活動を発表する「事例研究のつどい」が開催された。コロナ禍で前年は中止になったこともあり、今回の発表チームは丁寧な資料を用意し、力の入った報告だった。その中でも「与野民踊連盟」は音楽と踊りも入って参会者たちを楽しませた。
この会が踊った『重忠節』は、折りしもNHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』に登場する武蔵国の武将、畠山重忠の起伏に富んだ人生を偲んだもの。七五調で切々とした歌詞の作者は畑やわら・元埼玉県知事で、作曲は『古城』や『一本刀土俵入り』など三橋美智也の大ヒット曲を手掛けた細川潤一だ。受け取った資料には元知事が書いた重忠の紹介文があり、郷土の英雄への熱い思いが満ちていた。
畠山重忠といえば、子ども時代に見た絵本にあったエピソードを思い出す。源氏と平家の戦いで、源義経の軍勢に加わった重忠が、一の谷の合戦で愛馬を背負って急坂を下ったという。優しい心と超人的な怪力の持ち主だったようだ。『重忠節』がきっかけで、この人についてもっと知りたくなった。
『平家物語』、『源平盛衰記』、『吾妻鏡』などにその名が登場する。京に押し入った木曽義仲を討とうとする義経に従い、宇治川を渡ろうとしたが、馬を射られて徒歩で対岸にたどり着くと、やはり馬を失った武士が後ろからつかまろうとしたので、岸の上に投げ上げると、その男が「宇治川の先陣ぞや!」と叫んで笑われたという。
この後の平家との戦いでも活躍するが、ざん言もあって重忠の謀反が疑われたこともあった。その際の嘘偽りのない彼の対応により、源氏の総大将、源頼朝の信頼を得ていく。また、歌舞音曲の素養もあり、義経の側室で舞の名手、静御前が鎌倉に護送され、頼朝の要望で鶴岡八幡宮で舞った際には伴奏の銅拍子を打った。
しかし、頼朝の死後、北条一門が勢力を伸ばすと、河越重頼、比企能員ら武蔵国の重臣は殺された。残る畠山重忠も北条時政の強引な策謀により滅亡させられた。
ところで、愛馬を背負ってのひよどり越えの話は真実性が乏しいとされている。重忠についてはこのような美談仕立てが多いのも確かだ。物語の作者たちが彼の人徳に共鳴し、そのような物語にしたかったらしいと歴史学者たちも認めている。
山田洋
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