文芸広場
俳句・詩・小説・エッセイ等あなたの想いや作品をお寄せください。
自分が自分に気づくのは
周りに誰もいなくなってからです
仲間から取り残された時です
自分が群れの中で劣っていることに気づいた時です
柿の実が自分に気づいたのは季節の終わりであった
青い小さな実は夏の盛り自分を知らなかった
やがて周りの葉はそれぞれに身を飾り枝を離れていった
その昔熟した実は人が食べた
何故か今は鶏も姿をみせない
柿の実は無為に過ごした日々を訝しみ
意味を問いかけたが問いかける相手がいなかった
人の世の輝かしい役割を終え
今は安らかに余生を送っている人達もいます
日々の散歩道で気づいた
誰もいなくなると 見えてくるものもある
見回すとこの世界は名の無いもの、意味のないものばかりだ
アカマンマの一つ一つの実 野菊の花の一輪一輪
それぞれに自分がいる
日が傾くと柿の実は広大な夕映えの中にいた
美しいもの 懐かしいもの 幼心のものたちの声が聞こえる
短い夕映えが地の果てに消えると
全天の夜空の幕が開き自分は無数の星の中にいた
星々が奏でるシンフォニーの中で
柿の実も野の花も名の無い者達が一つになった
バックナンバー
新着ニュース
- エルメスの跡地はグッチ(2024年11月20日)
- 第31回さいたま太鼓エキスパート2024(2024年11月03日)
- 秋刀魚苦いかしょっぱいか(2024年11月08日)
- 突然の閉店に驚きの声 スイートバジル(2024年11月19日)
- すぐに遂落した玉木さんの質(2024年11月14日)
特別企画PR