トップページ ≫ 社会 ≫ 「預貯金を株式に移せ」と号令されても
社会
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「新しい資本主義」を掲げる岸田文雄首相は5月に英国ロンドンでの講演で「眠っている国民の預貯金をたたき起こす」と威勢よく語った。日本国民が銀行などに預けている資金を株式投資に回し、資産所得を倍増させる「1億総株主」という構想を打ち出したのだ。
日本の家計金融資産は欧米と比べると預金の割合が非常に高く、株式や投資信託の割合が少ないのは事実だ。とはいえ、低金利で利息がゼロに近いのに預金しているのはそれなりの事情があるからで、首相の発言は説得力に欠ける。
やはり今の政権が執心のカジノなら、参加する人は金をスッてしまうのも覚悟の上かもしれないが、預金を株式投資に回すには、もっと資産を増やせることが前提になるだろう。株式投資を長く経験した人なら、そんなに簡単に儲かるものではなく、判断ミスで大損することを知っているはずだ。
証券業界としても、多くの国民の資金を証券市場に呼び込むためにいろいろな策を打ってきた。インターネットでの株式売買により証券会社に払う手数料が大幅に下がり(無料のケースもある)、売買最低単位株数もほとんどが1000株から100株になり、投資しやすくなった。
反面、インターネット取引では証券会社の営業担当者を介さないため、銘柄選択や売買タイミングの判断は投資家自身がしなければならない。個々の銘柄の株価も理屈どおりに動くわけではない。証券会社が注目銘柄の株価予想をしているが、大ハズレも珍しくない。
そもそも日本経済がこの先どうなるか、はなはだ不安な状況下で、株価の持続的な上昇は期待できるのだろうか。素人が政治家の言うことを真に受けて株式に手を出しても、手練手管のプロ投資家のカモになるのがオチかもしれない。
山田洋
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