トップページ ≫ 社会 ≫ 性的少数者たちの勇気あるパイオニア
社会
特に埼玉県、さいたま市の政治、経済などはじめ社会全般の出来事を迅速かつ分かりやすく提供。
「隣に住んでいたら嫌だ。見るのも嫌だ」とLGBTなど性的少数者に対する差別的発言をした首相秘書官が更迭された。彼は同性婚についても「秘書官室は全員反対」とまで言っていた。首相秘書官は特別職の国家公務員で、現政権では主要省庁出身の7人と首相の長男の計8人で全員男性だ。この発言の背景には、衆議院予算委員会で同性婚を巡り、「全ての国民にとっても家族観や価値観、社会が変わってしまう課題だ」という首相答弁があるからだ。首相や秘書官のこのような姿勢については党内保守派への配慮、さらには保守派と関係が深かった旧統一教会の主張との類似性まで指摘されている。
世界では欧米を中心に同性婚を認める法制定が進んでおり、日本でも性的少数者や同性婚に対する認識は大きく変化している。東京の新宿2丁目は世界最大級のゲイ・タウンになっており、同性愛者向けのバーなど数百軒が集中している。テレビのバラエティ番組ではオネエタレントは欠かせない存在になっている。
首相秘書官の問題発言があった数日前、たまたまNHKテレビ「アナザーストーリーズ」では「オネエたちは闘った 知られざる勇気の系譜」を放送していた。IKKO、はるな愛などオネエタレントが人気を集めているが、その原点をたどると、みんなが「あの人のお陰」と口をそろえるパイオニアがいた。1973年にモロッコで命がけの性別適合手術を受け、男性から女性に転換したカルーセル麻紀だ。隠れるように生きていた人々に勇気を与えた闘いが番組で紹介された。
1970年代の終わり頃、つまり手術の数年後に、高級レストランシアター「赤坂コルドンブルー」でカルーセル麻紀が出演したショーを見たことがある。自分より大き目の女性ダンサーたちの真ん中で溌剌と踊っていた。左足の太股のバラの刺青が白い肌に映えた。手術には「そこまでしなくても」と思った私も、「よかったね、女になれて」との実感を抱いた。
それだけにNHKで正面から彼女(戸籍上も女性になった)をクローズアップしたことは感慨深かったが、実はこの番組、2017年2月に放送されたもので、今回はナレーターの変更による修正を加えただけの再放送だという。それから6年、変化する世の意識と政権担当者たちの考えのギャップはさらに広がっているはずだ。
山田洋
バックナンバー
新着ニュース
- 島耕作、50年目の慶事が台無しに(2024年11月24日)
- 第31回さいたま太鼓エキスパート2024(2024年11月03日)
- 突然の閉店に驚きの声 スイートバジル(2024年11月19日)
- すぐに遂落した玉木さんの質(2024年11月14日)
特別企画PR