社会
特に埼玉県、さいたま市の政治、経済などはじめ社会全般の出来事を迅速かつ分かりやすく提供。
昨年末発売の「週刊文春」に、お笑いタレントの松本人志(60歳)が後輩芸人に女性を集めさせて高級ホテルのスイートルームでパーティーを開催し、参加した女性に性行為を迫ったとする記事が掲載された。その後の号でも、他の女性からの松本に関する証言が集められた。これに対して彼は1月22日、名誉毀損で同誌発行元の文藝春秋に5億5000万円の損害賠償を求めて東京地方裁判所に提訴した。
松本サイドからのそれなりの反撃は予想されたが、突然飛び出した巨大な金額には同調できない人も多いのではないか。過去の巨額な名誉毀損訴訟が、相手を萎縮させるためのスラップ(口封じ)訴訟として批判されてきたからだ。
悪質だとされたのは、2000年代に消費者金融大手の武富士が、その経営実態や債務者からの取立てを報じた週刊誌・月刊誌に対し、立て続けに提訴した例だ。発行元の出版社や筆者のジャーナリスト、弁護士に数千万円から1億円超えの賠償を請求した。いずれも武富士側の敗訴または和解で終わっている。提訴されたジャーナリストたちは「賠償額が巨大で、裁判を戦うのは金銭的にも精神的にも大変だった」と述懐している。この時の武富士側の弁護士の中に、現在は大阪府知事の吉村洋文氏がいる。
最近では世界平和統一家庭連合(旧統一教会)が教団批判を封じるために、報道機関やそこで発言した人たちにスラップ訴訟を起こしたことが知られている。一昨年9月放送の読売テレビの番組で「違法な組織」と発言した弁護士と放送局に計2200万円の損害賠償を請求した裁判も1月25日に行われ、教団の請求は棄却された。これらの訴訟では裁判の勝敗よりも言論活動を萎縮させるのが目的だったとされる。
裁判は民事と刑事の2種類あるが、スラップは民事裁判だけだ。民事のほうが刑事より裁判化が簡単だからだという。訴状という書類を出せば、記載事項に不備がなければ受理される。
スラップ訴訟かと思われるようなケタ違いの賠償請求をした松本人志には、勝訴へのよほどの自信があるのだろうか。なかったら、それこそ引っ込みがつかなくなるだろうに。
山田洋
バックナンバー
新着ニュース
- エルメスの跡地はグッチ(2024年11月20日)
- 第31回さいたま太鼓エキスパート2024(2024年11月03日)
- 秋刀魚苦いかしょっぱいか(2024年11月08日)
- 突然の閉店に驚きの声 スイートバジル(2024年11月19日)
- すぐに遂落した玉木さんの質(2024年11月14日)
特別企画PR