トップページ ≫ ≫ 時給1,500円は実現するのか
政府はこれまで2030年台半ばに実現としていた最低賃金 時1,500円を、2020年代中に実現とその目標設定の大幅な前倒しを発表した。2020年台中とすると残り時間は約5年、果たして実現の可能性はどうなのだろうか。当然の事ながら労働者からは賃上げはいつでも大歓迎だが、経営者から見るとその実現には多くの壁が存在しているようだ。
一例を挙げると低価格で受注する企業の市場からの退場促進を望む声が多いという。適正に利潤を確保した価格で受注を取ろうとしても、運転資金を回すためなのか採算を度外視した低価格で市場を混乱させている企業が実際に多く存在していると読み取る事が出来るだろう。既に賃上げを実施済の企業でも、物価上昇による売上の不足、利益の不足から息切れが見られ始めているという。
他には解雇規制の柔軟化を求める声もかなり多く、時給1,500円実現を目指す動きが雇用の不安定化に繋がりかねないという矛盾をはらんでいる。
生産性の向上、それによりもたらされる利益率の改善、公的資金でその流れを下支えする税制面での優遇措置など特に経営基盤が相対的に弱い中小企業に対する様々な支援について検討が必要となるだろう。
本当に長い期間、低い経済成長、デフレが続いてきたこの日本でこの2~3年での急激なインフレによって、それに呼応するだけの実質賃金の伸びは必須となるが、それを実現する魔法の処方箋はない。
例の年収の壁の影響で時給の上昇の実現は、一方で一層の働き控えを生むとの予測もある。税制面からの支援についても様々な観点からのアイデアが求められる。
正攻法の対策として生産性の向上が継続して取組み続けるべき最大の課題であり続けるだろう。
小松隆
バックナンバー
新着ニュース
アクセスランキング
特別企画PR