トップページ ≫ 社会 ≫ 福島第一原子力発電所災害に遭遇して
社会
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「原発・エネルギー問題」をテーマに平成24年6月11日(月)午後1時30分より鶴ヶ島市商工会館で公益社団法人埼玉県宅地建物取引業協会埼玉西部支部西入間地区の主催でオープンセミナーが開催された。
講師には原子力発電プラントメンテナンスを主な業務とし、本社の所在地が福島県双葉郡大熊町の株式会社エイブル代表取締役佐藤順英氏を招いた。
佐藤氏は3.11東日本大震災発生後、本社の業務ができなくなるなか、福島第一原発の復興に携ってきた。
1年3カ月の軌跡、そして原発事故の本当の姿を、今日公の場所で初めて語った。
東日本大震災発生直後に世界で誰も経験したことのない原子炉停止操作が始まり、消防車による注水、電源復旧のための仮設ケーブル緊急敷設、格納容器内の気体放出がなされるが、1号機、3号機、4号機原子炉建屋爆発し、大気、海洋に放射線物質が放出されてしまう。
社員はまず、電源の確保、コンクリートポンプ車による燃料プール他の冷却、高濃度汚染水浄水設備設置工事に携わり、どの作業も24時間飲まず食わず、常に被ばくという現実から逃れられない過酷なものであったと涙ながらに語った。
9カ月にわたり様々な困難と格闘した結果、12月16日ついに冷温停止し、現在に至っている。
その後、原子炉の冷却を継続、排水の処理、燃料取出し方法の検討を行なっているという。
最近の新聞でも騒がれているように、福島第一原子力発電所での事故発生時、海水注入中断の指示が官邸から出されたのにもかかわらず、現地の判断で注入が継続された問題は今なお議論されているが、判断が分かれた理由を佐藤氏は「どちらも間違いではなく、今までに経験したことのない出来事に皆が戸惑い、混乱し、正解のない問題を判断することが出来なかったのは当然であった。しかし、原子炉を冷却するには水が必要であり、データーの裏付けはなくとも、現地技術者の判断は己を信じるしかなかった」と強く訴えた。
これからのエネルギーとして、太陽光や太陽熱、水力、風力、バイオマス、地熱などの再生可能エネルギーがあげられているが、今現在、原子力には追いつかないのが現実であり、最終的には、原子力に頼ることなく、危険を伴わない再生可能エネルギーにしていかなければならないと述べた。
最後に、日本の運命、福島の運命に漂いながら、過去は追わず、未来を心配せず、ただ今生かされていることに感謝をして、その日を精一杯頑張り、ひたすら善きことを思い行い、常に前向きに希望を持って頑張ってくれる社員を幸せにすることだという言葉に熱いものを感じた。
東日本大震災は、東北に多くの被害をもたらし、たくさんの人々の命を奪った。
起こり得ないことが起こり、全てが想定外であり、その結果、正解のない問題に皆で立ち向かったが、まだその答えは出ていない。
国民は、新聞やテレビの情報をどこまで信じていいのか、戸惑う日々が続いている。
現地の人々は、国はパフォーマンスばかり大きく、全く真実性がなく、何の期待もしていないと言う。
現実は厳しく、東日本大震災から1年3カ月経った今でも、現地では戦い続けているたくさんの人々がいることを私達は忘れてはならない。
日々の生活に感謝し、未来の日本のために自分ができることを少しでもやるべきなのだと再確認したセミナーであった。
佐藤順英(さとうゆきひで)氏のプロフィール
株式会社エイブル代表取締役。昭和31年秋田県鹿角市生まれ。日本大学理工学部電気工学科卒。昭和53年東電工業株式会社入社、東京電力千葉火力発電所ボイラー担当。その後、福島第二原子力発電所RX担当。平成4年退職し、エイブル設備株式会社を福島県双葉郡富岡町に設立。平成7年株式会社エイブルに変更、平成9年本社を大熊町に移す。柏崎・青森・東京・神戸に事務所、営業所をもつ。主な業務は原子力発電プラントメンテナンス、各種プラント関連設備の設計・製作・施工、産業用資材の販売。
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