社会
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5月19日(日)はさいたま市長選の投票日である。清水勇人市長が再選を目指すなか、対抗馬の出馬表明もあり世間の注目を集めている。奇しくも同じ日に川口市長選が実施される。岡村幸四郎市長の5期目の挑戦となるが、多選批判の声も上がらず、市長選の争点や、市のこれからの展望に関する論戦もわき上がらず、盛り上がりを見せない。
前職の永瀬洋治市長時代のリリア(川口総合文化センター)をはじめとしたハード対策のため発行した市債により、市民一人あたり50万円までふくれあがった借金を半分にした行政改革の実績については評価されてよい。一方、市議会での立候補表明に際して、5期目の課題として挙げたものが、1)老朽化した市庁舎の建て替え、2)18年の開校を目指す市立3高校の統廃合計画 3)60年近く懸案事項となっていた火葬場の建設を含む赤山自然公園の整備などであった。どうも川口市の将来を語るというにはあまりに問題意識に乏しい。
浦和、大宮、与野そして後に編入された岩槻からなるさいたま市は政令指定都市であり、一昨年10月に鳩ヶ谷市を編入した川口市は56万人もの人口を抱えていながら特例市である。埼玉県の特例市は他に熊谷市、所沢市、春日部市、越谷市、草加市があり、特例市より県からの事務権限の委譲がすすんでいる中核市に人口34.5万人の川越市が指定されているにもかかわらず。もっとも平成14年まで中核市には面積100㎢という面積要件があったことが理由である、すでに要件は撤廃されている。ここは中核市さらには政令指定都市を目指して県政の光が当たらないといわれてきた川口市民に光のあたる政治を実現してほしい。
リチャード・フロリダというアメリカの社会学者による「クリエイティブ都市論」という本がある。脱工業化した都市において成長の鍵になるのはクリエイティブクラスという知的、創造的職業人であるということがその主張だ。そういった人たちが集まる都市でないと貧困層だらけになるという警鐘をならしている。東京に隣接している地の利や今後の開発用地の供給源である工場跡地というメリットを抱えている川口市は魅力のある都市になれるのであろうか。本当に魅力的な都市作りをしていかないと、さいたま市や草加市、越谷市、戸田市といった周辺都市との競争で負けてしまう。現在の岡村市長そして川口市議会にその危機感はあるのだろうか。それを感じさせない一つの理由が、川口の政治がいまでも旧住民(旧来からの地元住民)をベースに行われていて、新住民に対して無関心でおり、それがひいては新住民も市の政治に無関心になっていることである。そしてその象徴が「川口自民党」なる存在ではなかろうか。
(五嶋 直樹)
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