社会
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9月20日北本市議会が終了し、南部地域に新駅の建設に伴う住民投票条例が可決された。10月1日付で担当課の名称を「南部地域整備課」から「新駅建設推進課」と名称を変えることも発表され,12月15日に予定される住民投票に合わせて民間団体の「新駅設置促進会」に活動資金として1,300万円の補助をすることも併せて決定された。北本市は設置促進の立場であるそうだ。
建設予定地は北本市の最南端に位置し、仮に開業ということになれば桶川市民の利用も多いことが予想されるが、桶川市は財源負担の面から、この問題には門外漢を貫いている。すなわち北本市内の政策課題に口は出さないという姿勢である。桶川・北本間に新駅が建設されれば旧菖蒲町の住民にとっても利便性の向上が見込める。JR沿線の市町にとって、駅の新設は限りなく大きな影響を及ぼす。このような重大な政策の是非を北本市の住民投票のみで決して良いものか。そもそも地域とその周辺に大きな影響を及ぼす政治的判断が必要な事案を住民投票の投票結果にゆだねること自体が大問題であって、市長をはじめとする市議会議員の地域の未来に対する責任放棄は許しがたい。
住民投票にはおよそ3,000万円ほどの予算が別途必要になる。72億の建設資金に比べれば微々たるものだが、住民投票には反対の結果が出る可能性もあるのだ。いや北本市の中心部から以北の住民には、新駅設置は市民生活上たいした問題ではない。現にこの暴挙に対して反対の投票をすると宣言する住民もいるのだ。何をいまさら住民投票などするのかという批判も聞かれる。
30年以上も結果として放置してきたにもかかわらず、今になって結論を急ぐ必要性はあるのか。JR高崎線沿線にあって人口の減少を続けているのは北本市くらいなものだが、駅さえ造れば人口が爆発的に増えるとは限らない。
新駅設置に伴う利便性の向上、周辺地域の土地活用のビジョンなどを充分に配慮した上で、市全体の理解を深め、わが国の長期的人口減、特に労働人口の減少に対応した政策の立案こそ急務だ。市町合併を促進して広域行政を実現し、産業振興・人口増を図るために政治の責任において圏央道とのリンク、地域の複合的な発展を促す計画にしてもらいたいものだ。
(宮内 和樹)
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